[画材考] 洋画家:石田淳一「陽光のこと」

2020年12月02日 14:00 カテゴリ:コラム

 

モチーフである卓上と制作中の油彩画が柔らかな陽光に照らされている

モチーフである卓上と制作中の油彩画が柔らかな陽光に照らされている

 

アトリエには自然光が入る。

 

自分の絵にはこの陽の光が大切だ。アトリエにある物たちは柔らかな陽光を受けて静かに佇んでいる。この様を眺める事がとても好きで、絵を描く事の一つの動機とも言える。

 

僕は主に油絵を描くが、その自然光の満たされた空間にある物と絵と自己と向き合う時間こそ、絵の具に練り込むべき溶き油の様な存在だと思っている。描き手が視ている物事、思想、哲学、それらを重ねていく絵の具に託す行為こそ絵を描くということだと僕は信じている。

 

とは言え、絵筆を握っている間ずっとその思考で自分を支配できる訳も無い。気が付かないうちに無心で描いているものだ。絵筆を止め、立ち上がり深呼吸する時、小休憩から再び絵の前に立つ時、また朝仕事を始める時、アトリエに差す陽光がまた新鮮な気持ちにさせてくれるのだ。

 

《●●●●》

《relic(見守ること、或いは見守られることについて)》130.3×97.0cm

 

日々、世の中にアンテナを張れば物凄い量の情報が溢れている。目的は曖昧であったとしても、何処までも、何時までもその大海で波乗りをしていられるだろう。その中でアトリエと言う箱の中に篭り、極々個人的な作業に勤しむのが絵描きだと思われるが、そんな情報の海からの風は案外、毒素を含む事も少なくない。故にその為のフィルターは必要であり、それは他ならぬ自己の意志、思想だが、その目詰まりを取り除いてくれるのもまた、アトリエに差し込む陽光だと思っている。

 

w2

 

w6

 

 

.

石田 淳一(いしだ・じゅんいち)wishida
1981年埼玉県生まれ。2004年日本大学芸術学部美術学科卒業(卒業制作買上)。現在無所属。
12月16日より日本橋髙島屋では初となる個展を開催予定。なお同時期、同日本橋に在する一番星画廊では2020年1月1日から石田が毎日描き続けているドローイングを3期に分けて展示。こちらも併せて楽しみたい。

 

 

【関連リンク】石田淳一

【展覧会】石田淳一展 ―見詰めるということ―

【会期】2020年12月16日(水)~22日(火)

【会場】日本橋髙島屋S.C. 本館6階 美術画廊 (東京都中央区日本橋2―4―1)

【TEL】03-3211-4111

【開館】10:30~19:30(最終日は16:00閉場)

    ※営業日・営業時間は変更になる場合あり

【休館】会期中無休

【料金】無料

【展覧会】ある日 – trace of life - 石田淳一展

【会期】第1回 2020年11月14日(土)~28(土)
    第2回 2020年12月12日(土)~26日(土)
    第3回 2021年2月6日(土)~20日(土)

【会場】一番星画廊 (東京都中央区日本橋3-6-9 箔屋町ビル1階)

【TEL】03-3272-2525
【開廊】12:30~18:00
【休廊】12月14日・15日・23日、2月8日・9日・15日・16日

【料金】無料

 

 


関連記事

その他の記事