【加須】 埼玉ゆかりの芸術家展 ~郷土の表現者たちの心の旅~

2013年04月25日 10:06 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

「埼玉ゆかりの芸術家展」に寄せて

江口健 (公益財団法人 サトエ記念21世紀美術館 主任学芸員)

 

 

斎藤与里「畑毛の富士」 1957年 油彩・キャンバス 91.2×73.4cm

開館から12年目の春を迎えるサトエ記念21世紀美術館では『埼玉ゆかりの芸術家展 ~郷土の表現者たちの心の旅~』を開催いたしております。

 

当館では平成13年5月に北埼玉地域における初めての美術館として開館以来、『日本庭園と彫刻と絵画の美術館』というキャッチフレーズを掲げ、油彩画・彫刻を中心とする約1,000点のコレクション作品を紹介するだけでなく、時機を得た企画展覧会を開催してまいりました。中でも郷土・埼玉にゆかりのある芸術家を積極的に研究・展示することにより、身近に暮らす芸術家たちの活動や作品を広く知っていただけるよう、地域における美術の振興に努めてまいり、埼玉だけでなく全国の美術館としても初個展や初展示となる作家や作品を多く紹介しているのも、当館の大きな役割の1つと考えております。

 

 

サトエ記念21世紀美術館外観

サトエ記念21世紀美術館外観

関東平野の西部に位置し、関東山脈の一部を形成する東部山岳地帯を有する埼玉県では、紀元前2~3万年前という旧石器時代から縄文、弥生、古墳時代の遺跡が6,000箇所も発見されており、太古の昔から人間が生活するのに相応しい環境であったと考えられます。また、近代においては、「鎌倉文士に浦和絵かき」という言葉で称されるほど浦和近郊を中心に埼玉県には戦前から多くの芸術家たちが生まれ、あるいは、移り住むなど、芸術家にとっても恵まれた環境であったと想像されます。

 

本展ではコレクション作品を中心に埼玉の油彩画家、日本画家、彫刻家31名の作品を一堂に集め展覧いたします。郷土の画家たちが表現者として自らの心と向き合い、流れゆく時代の中で作品を創造してきた生涯において、生み出された作品には時代ごとに芸術家たちが直面した感動や苦悩などあらゆる感情としての「心」が内包されていると言えます。この機会に創造された作品を改めて観賞することで、芸術家たちの心を紐解く機会となれば幸いです。

 

玉之内満雄「花と絵のある室内」 1990年 油彩・キャンバス 162.1×130.3cm

小松崎邦雄「サンデーモーニング」1966年 油彩・キャンバス 181.4×227.7cm

また、本展と併せて当館では常設展示として、ジャン=ポール・ローランスやヴラマンク、キスリング、荻須高徳などの「フランスの息吹」と題した油彩画収蔵作品の展示、ロダンを中心にブールデルや舟越保武などの彫刻作品が屋外庭園と館内を併せ約50点観賞することが出来ます。そして、新緑に色づきはじめた屋外日本庭園には錦鯉が遊泳する小川が流れており、鯉に餌をあげることも出来ますので、子どもから年輩の方にまでご好評をいただいております。是非ともご来館ください。

 

『埼玉ゆかりの芸術家展』会場風景

『埼玉ゆかりの芸術家展』会場風景

【会期】 2013年4月13日(土)~9月1日(日)

【会場】 サトエ記念21世紀美術館(埼玉県加須市水深大立野2067 平成国際大学前)

☎0480-66-3806

【休館】 月曜、ただし4月29日、5月6日、7月15日は開館、4月30日、5月7日、7月16日は休館

【開館時間】 10:00~17:00

【料金】 一般900円 大・高生700円 小・中学生600円

【関連リンク】 サトエ記念21世紀美術館

※交通はこちら

 

ミュージアムトーク

~彫刻家・中島睦雄、自作と人生を大いに語る~

①「郷土の音楽家・下総皖一と共に」 5月6日(月・祝) 14:00~

②「郷土の画家・斎藤与里と共に」 7月21日(日) 14:00~

【会場】 同館エントランスホール

【料金】 要展覧会入場券

 


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