1930年、事業家・大原孫三郎によって、西洋美術を中心とした日本初の私立美術館「大原美術館」は開館した。名作の数々に、ギリシア神殿を思わす重厚なたたずまい。“美の殿堂”と呼ぶにふさわしい80余年の歴史を、様々な角度から紹介する試みが、現在行われている。
その名も「まだまだすごいぞ!大原美術館」。通常とは異なるテーマを設定し、珍しい組合せや、公開機会の少ない作品が全館で紹介されている。
児島虎次郎が孫三郎の支援によって渡欧し、作品をもとめた時代を振り返る〈ようこそ大原美術館へ〉に始まり、美術家と“死”に思いが至る〈末期の目〉、金色の光・聖なる光というふたつのゴールドに着目した〈ゴールド・マニア〉、そして誰もが覚えのある〈教科書でお会いしましたよね〉など、新鮮な切り口による13のテーマが続く。福島県喜多方市との交流も伝える〈せぴろまの夢―セザンヌがつなぐ夢〉など、美術館の多彩な活動にも注目したい。
名品揃いの美術館は、ともすれば、いつも同じ作品が並ぶ硬直したイメージを持たれがちだ。けれども同館は、開館当初より同時代の作家を収集・支援し、アーティスト・イン・レジデンス「ARKO」や、昨年開催の「オオハラコンテンポラリー」などを通し、時代と深く関わってきた。「美術館は生きて成長してゆくもの」という信念を体現し、80余年の豊かな蓄積を物語る、楽しくにぎやかな企画。よく知った名品も一味違う魅力を見せてくれるだろう。
ギャラリートークなどイベントも多いため、ホームページを確認して出かけたい。
【会期】 2014年1月28日(火)~4月6日(日)
【会場】 大原美術館(岡山県倉敷市中央1-1-15)☎086―422―0005
【休館】 月曜、ただし3月24日・31日は開館
【開館時間】 9:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
【料金】 一般1300円 大学生800円 高校~小学生500円
【関連リンク】 大原美術館
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「新美術新聞」2014年2月21日号(第1336号)1面より