生誕140年の大規模回顧展開催
1911年、36歳という若さでこの世を去った菱田春草。悲劇的な生涯、そしておよそ15年という短い画業ながら、近代美術史上に燦然と輝く名作を数多く残している。生誕140年の今年、100点を超える作品から大規模な回顧展が東京国立近代美術館で開催される。
春草は1874年に現在の長野県飯田市に生まれた。東京美術学校(現・東京藝術大学)に学び、卒業制作は最優等で卒業。1989年のいわゆる東京美術学校事件に際し、日本美術院創立に参加して正員となった。
岡村覚三(天心)のもと、輪郭線を描かずに色をぼかし、空気を表現しようとした手法が「朦朧体」である。その試みから春草も「王昭君」(1902年、重要文化財、善寳寺)など傑作を生み出している。「朦朧体」の時期を経ると、背景を抑制した装飾的な画風にとりくみ、「落葉」(1909年)、「黒き猫」(1910年)といった、のちに重要文化財となる作品が描かれた。今展では、これら代表的な作品を余すところなく展示。「落葉」の連作5点や、「黒き猫」をはじめとする“猫”の関連作、数十年ぶりに公開となる作品など、見どころは多い。
最新の研究成果も紹介され、過去最大規模となる今回の展覧会。近代の美術史において極めて重要な画家・菱田春草の、真価が明らかになるだろう。会期中、展示替えあり。
【会期】9月23日(火・祝)~11月3日(月・祝)
【会場】東京国立近代美術館(東京都千代田区北の丸公園3-1) TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
【休館】月曜、10月14日(火)、ただし10月13日、11月3日は開館
【開館時間】10:00~17:00(ただし金曜は20:00まで、入館はそれぞれ閉館30分前まで)
【料金】当日一般1400円 大学生900円 高校生400円 ※猫ペアチケット(2枚で2000円)は9月22日までの販売
【関連リンク】東京国立近代美術館