2011年11月から12年10月までのあらゆる芸術分野を対象に、特に優れた芸術的成果を挙げた個人・団体に贈られる「第54回毎日芸術賞」(12年度・毎日新聞社主催)の受賞者が決定、1月1日に発表された。
美術部門では画家・辰野登恵子氏(62歳・多摩美術大学教授)が受賞。授賞理由は、「与えられた形象」展(8~10月・国立新美術館)及び「辰野登恵子 秋の有隣荘特別公開」(10月・大原美術館)。選考委員の高階秀爾氏は「…濃密な対比と隙のない画面構成によるその芳醇な世界は、具象・抽象の区分を超えて『絵画』そのものの持つ力を直接見る者に強く感じさせた。…現在最も脂の乗りきった、充実した活動を続けている注目すべき画家の一人…」と評した。
他分野では、文学部門=歌人・高野公彦(71歳)、音楽部門=歌手・谷村新司(64歳)、演劇・邦舞部門=歌舞伎俳優・坂東三津五郎(56歳)の各氏、映像部門=番組制作会社・テレビマンユニオンがそれぞれ受賞した。
また、特別賞にはアラーキーこと写真家・荒木経惟氏(72歳)。授賞理由に「荒木経惟写真集展 アラーキー」(3~7月・IZU PHOTO MUSEUM)で示した「写真集文化」の確立。「…(展覧会)では、これまで彼が刊行してきた450冊を超える著作が展示され、あらためてそのエネルギッシュな活動ぶりに注目が集まった。そのキャリアと実力は、まさに毎日芸術賞にふさわしいとものといえる。」(写真評論家・飯沢耕太郎氏による評)。
他、第15回千田是也賞(毎日芸術賞演劇部門寄託賞)に演出家・伊藤大氏(50歳)、第11回毎日書評賞に作家・堀江敏幸氏(49歳)が決まった。以上、贈呈式は1月22日(火)16時より東京都港区の東京プリンスホテル2階「マグノリアホール」にて行われる。
「新美術新聞」2013年1月21日号(第1301号)3面より