文化庁 平成26年度新規事業 予算1億円、 展覧会20件余を支援
4.11説明会は画廊関係者らで満杯盛況 締切:5月9日
文化庁では平成26年度新規事業として、国際的にも評価される、わが国の現代アートの海外発信を促す「優れた現代美術の海外発信促進事業」の募集を開始、4月11日に開かれた事業説明会には画廊関係者らが多数参加、関心度も高く満員盛況だった。資金補助の対象は、国内外の国際的なアートフェスティバルやフェアで現代アートの海外への発信に取り組む団体・画廊等だ。予算総額は約1億円、五百万円を限度に展覧会20件余を支援する。クールジャパン戦略の一環といえる。
文化庁によると、今回の募集開始説明会について同庁ホームページでも広く呼び掛けると定員100名のところ直ぐに申込み150人を超えたため、収容キャパの事情からすぐに締め切ったという。
わが国の優れた文化芸術を海外に発信していくというクールジャパン戦略。そのなかで現代美術はこれから打って出ていく上で必要かつ重要なコンテンツの一つとされる。同じアジアの中国、韓国が現代美術に相当な力を入れ、結果を出しつつある。だが、現状では日本も中・韓と比べても海外で現代美術の作品評価という点では十分に力を持っている。それゆえ、海外発信について諸外国と比べても問題がないよう国がそれを支えていくべき、との考えが新規事業の基本にある。
対象となる実施期間
①海外アートフェスティバル等の出展は本年6月16日~9月30日。(本年度下半期は6月下旬に別途募集の予定。※下半期の細目等がまだ未定が多いため)
②国内企画展は平成26年6月16日~平成27年3月31日。(年度内終了の展覧会)
具体的には日本の現代アート作家・アート作品の国際的なアートフェスティバル・フェア(例えばスイスのアート・バーゼル)や国際発信力のある国内企画展(例えばアートフェア東京)出展への金銭補助。その支援により作家やキュレーターに活動・発表の場を提供し、現代アートの国際発信力・競争力の向上、また現代アートに触れる機会の充実を図ることが目的である。
事業の予算枠は総額1億円。文化庁によると画廊等の海外出展の場合、様々な経費は通常約1千万円かかる。小規模な画廊の場合、そうした出費はかなりのリスクを伴う負担なのは明らか。その経費の2分の1、かつ5百万円を上限に補助しようとの意図だ。支援の対象は地方公共団体、法人格の団体、そうでない画廊などで20件程度としている。
対象となる活動・分野は1団体1活動(年度内)。前記①ではわが国の作家・作品の出展活動。②国内アートフェスティバルの場合は事業全体、テーマや企画展示部分の申請は可だが、作品や1作家単位は不可。海外で評価されるモノ派・具体の作家だけでは不可とし、現存作家の過半数以上の展示が条件。現代アートの範囲は微妙で具象作家も排除はしないという。
応募の締め切りは5月9日(金)必着、郵送のみ。事業の詳細は文化庁ホームページ参照。
なお、文化庁で今事業とは別に「現代美術の海外発信に関する検討会」を数回開催し、取り組むべき具体的な方策等を以下の10名の委員で検討すると発表した。
【構成員】逢坂恵理子、蔵屋美香、後藤繁雄、南條史生、林道郎、松井みどり、宮島達男、宮津大輔、山本豊津、山本ゆうこ(敬称略)
「新美術新聞」2014年5月1・11日号(第1343号)3面より