国内最多の2,035作品が応募
アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門において優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品の鑑賞機会を提供するメディア芸術の総合フェスティバル「文化庁メディア芸術祭」。その第18回の受賞作品が11月28日に発表されたが、アート部門の大賞は該当なしという結果となった。
1,877作品の応募があったアート部門の審査員は植松由佳(国立国際美術館主任研究員)、岡部あおみ(美術評論家)、佐藤守弘(視覚文化研究者/京都精華大学教授)、高谷史郎(アーティスト)、三輪眞弘(作曲家/情報科学芸術大学院大学(IAMAS)教授)の各氏。大賞作品がなかった理由に関して三輪氏は「今年の応募作品の質が低かったということではない。しかしながら、『今年はこれだ』という決め手がなかった。去年から1年が経って、技術はまた進歩した。去年は驚きがあったが、今年はそれのアップデートという感じで、視点そのものは動いていない。そういう意味で審査委員の実感を率直に反映した方がいいと思い、大賞は無しとした」と語った。
なお同部門の優秀賞は「これは映画ではないらしい」(五島一浩)、「センシング・ストリームズ―不可視、不可聴」(坂本龍一/真鍋大度)、「Drone Survival Guide」(Ruben PATER)、「Nyloïd」(Cod.Act(Michel DÉCOSTERD / André DÉCOSTERD))、「《patrinia yellow 》 for Clarinet and Computer」(福島諭)の5作品が受賞。この中で現在病気療養中の坂本氏は「札幌国際芸術祭のための、真鍋さんとの初のコラボレーション作品がこのような賞ををいただき大変喜んでいます。私も是非病気から回復して、いつかこの目で見てみたいと思っています」とコメントを寄せた。
また新人賞には「A Tale of Tehrangeles」(Anahita RAZMI)、「Symbiotic Machine」(Ivan HENRIQUES)、「Temps mort / Idle times – dinner scene」(Alex VERHAEST)の3作品が選ばれた。
今回は世界71の国と地域からの1,818作品を含む3853点の応募があり、国内応募数(2,035作品)は過去最多を記録した。受賞作品展は2月に東京・六本木の国立新美術館を中心に開催。受賞作品の展示・上映のほか、シンポジウム等約40のプログラムが実施される。
【会期】2015年2月4日(水)~15日(日)
【会場】国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)、シネマート六本木(東京都港区六本木3-8-15)、スーパー・デラックス(東京都港区西麻布3-1-25 B1)
【休館】国立新美術館=2月10日(火)
【料金】無料
【関連リンク】第18回文化庁メディア芸術祭