(左から)フランク・ゲーリー氏とディレクターの田根剛氏

15日、東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで16日(金)から始まる「建築家 フランク・ゲーリー展 “I Have an Idea”」の記者会見が行われた。

今展はビルバオ・グッゲンハイム美術館や昨年開館したルイ・ヴィトン財団などで世界を驚かせ続けている建築家 フランク・ゲーリーの「アイデアの力」に注目し、その実現に至るプロセスを辿るもの。同じく建築家である田根剛がディレクションした会場では、100点を超えるプロセスの模型やオブジェのほか、代表作の建築空間を映像で体感できるプロジェクション、またゲーリー事務所内にあるミーティングルームに着想を得て構成された、ゲーリーの素顔に触れられるような「ゲーリー・ルーム」が登場。5つのパートで構成されており、多才な建築家を多角的に紹介している。

会場には多くのメディア関係者が詰めかけた

今回、展覧会のために来日したゲーリー氏は会見の冒頭、「古い友人でもある安藤忠雄氏の建築の中で展覧会をできて嬉しく思う」と挨拶。「日本の建築や音楽、芸術、文学も大好きだ」と語った氏だが、自身も雅楽をたしなんでいることを明らかにし、会見は終始和やかな雰囲気の中で進められた。

建築家になったきっかけを問われると「(回答するのに)4時間はかかる」としながら、「トラックの運転手をしていたこともあり、夜学でLAのカレッジに通っていました。その時はとにかく興味のある科目を取っていましたが、成績はおぼつかなかった。またラジオのアナウンサーにもなろうと思ったこともありますが声質が十分ではなく、なることができなかった」など意外な一面を披露。陶芸の先生に建築の道を進められ、南カリフォルニア大学の建築コースを履修するも教授から「建築家にはなるべきではない」と言われたということもあったという。

その後、終戦の時期に来日し、伊勢神宮や正倉院、桂離宮などを見て感銘を受けたというゲーリー氏。日本では唯一、神戸に1987年に建てられた「フィッシュ・ダンス」があるが、これについては「双方に齟齬がありました。私は魚のかたちをしたものがやりたいわけではなかった。話せば長くなりますが、いつかこれでドキュメンタリーでもつくりたい」と冗談交じりに語り会場を沸かせた。

「建築の展覧会」ではなく「建築家の展覧会」であり、フランク・ゲーリーという人、そしてそのアイデアがテーマとなっている今展。会場の中央では18年完成予定のルマ財団やFacebook本社 西キャンパスビルなど6つのプロジェクトから90点近くの模型、竣工写真、スケッチが展示。建築の可能性を常に拡張し続けてきた氏がアイデアを生み出すプロセスを実際に辿ることができる。また「ゲーリーのシークレット」と題されたコーナーではゲーリーが描いた魚のスケッチと模型、工場写真などが展示されており、ゲーリーのアイデアの秘密に触れられる機会となっている。

入口近くで出迎えてくれるのは昨年開館したルイ・ヴィトン財団(パリ)の大型模型

「ビルバオ・グッゲンハイム美術館」「ウォルト・ディズニー・コンサートホール」「ルイ・ヴィトン財団」の3つの建物の外観と内観の撮り下ろし映像が壁面に映し出される。

「ゲーリー・ルーム」には不思議なオブジェや写真など、ゲーリーのプライベートに触れられるようなものが数多く展示されている。

ゲーリー事務所をパノラマ撮影したもの

1階ショップではビルバオ・グッゲンハイム美術館のグッズが今回のために特別に用意されている

【会期】2015年10月16日(金)～2016年2月7日(日)

【会場】21_21 DESIGN SIGHT(東京都港区赤坂9-7-6　東京ミッドタウン・ガーデン内)

【TEL】03-3475-2121

【休館】火曜、11月3日は開館、年末年始(12月27日~1月3日)

【開館】10:00~19:00(入場は閉館30分前まで)

【料金】一般1,100円　大学生800円　高校生500円　中学生以下無料

【関連リンク】21_21 DESIGN SIGHT

■展覧会ディレクターによるギャラリートーク

【日時】10月17日(土)　14:00～15:30

【会場】21_21 DESIGN SIGHT

【出演】田根剛