今夏、東京で開催される「ダダ100周年フェスティバル」の記者会見が、東京・麻布のスイス大使館で開催された。
ダダイズムは、1916年にチューリヒにあるキャバレー・ヴォルテールで生まれ、グローバルなアート・ムーブメントとして世に広がった運動だ。詩人のトリスタン・ツァラ、美術家のハンス・アルプ、ゾフィー・トイバー、ドイツの文学者フーゴー・バル、詩人のエミー・へニングスや文学者のリヒャルト・ヒュルゼンベックらが参加し、その流れはベルリン、ニューヨーク、パリにも拡大。東京でも、柳瀬正夢、村山知義らが「マヴォ」を結成し、日本のダダイズムの先駆けとなっている。
誕生から100年がたった今日においても、アーティストたちにグローバルかつ普遍的なインスピレーションを与えているダダイズム。「ダダ100周年フェスティバル」は、東京の様々な施設でパフォーマンスや展示、イベントなどを開催することで、ダダの発想を今日の日本のアートシーンに伝えるとともに、一般の人にまで広くダダに親しんでもらうことを目的とするプロジェクトである。
記者発表には、ウルス・ブーヘル駐日スイス大使をはじめ、キュレーションを担当する四方幸子氏、コラボレーションを行う様々なパートナーが出席し、プロジェクトの説明を行った。
そして、記者発表後半にはなんと、ウルトラ怪獣「ダダ」(円谷プロダクション)が登場。ウルトラ怪獣の中でも一際異彩を放つダダは、まさにダダイズムを語源として名付けられた怪獣で、「ひとつの頭部に3つの顔が存在する」というキュビズム的な特徴と、視覚に強烈に訴えるオプ・アートのような模様を具えている。デザインの成田享も造形の高山良策もともに本業は芸術家。彼らはまさにダダイズムから脈々と連なる美術表現の延長として、ダダを生み出したと言えるだろう。
「ダダ100周年フェスティバル」の主なイベントは以下。
◆東京のアートスペース「スーパー・デラックス」で、キャバレー・ヴォルテールを再現(7月11日~18日)
◆1923年のオリジナルな「マヴォ」のパフォーマンス再演
◆数多くのアーティストとエキスパートにより制作される、ダダ新聞の発行(都内無料配布)
◆早稲田大学會津八一記念博物館や国立新美術館アートセンターライブラリーでの展示
◆スパイラル/ワコール・アート・センター(表参道)やASAKUSA(浅草)、The Container(中目黒)等における展示、コンサート、ワークショップ、パフォーマンスなど
その他、アンスティチュ・フランセ日本での「ダダ・ナイト」開催(7月15日)や東京ドイツ文化センター「ダダから100年、そして今」(9月7日~28日)、6月下旬には「Dommune」とのコラボレーションも予定されている。各プログラムの詳細はウェブページ「ダダイズム誕生100年」にて随時紹介される。
【関連リンク】「ダダイズム誕生100年」