「蜘蛛の糸」をキーワードにその謎めいた魅力を探る展覧会が、愛知県の豊田市美術館で開催される。
足が8本で毛むくじゃらという、その見た目の無気味さから嫌われることが多い蜘蛛。それらは一方で、繊細な美しい糸の軌跡を編み出し、時に人を釘付けにする。大きな円網の幾何学的な造形美、あるいは霧の日の水滴を連ねた真珠の首飾りのような網の美しさ……。蜘蛛のもつ怪しい魅力と象徴性、蜘蛛の糸の謎や神秘は、古くから芸術家たちを魅了してきた。
今展では江戸時代から現代に活躍した、多分野にわたる作家約80名の作品を紹介。蜘蛛/蜘蛛の糸を注意深く観察して捉え、記録、描写した作品をはじめ、蜘蛛の糸のイメージや要素を比喩的に用いたり、あるいは増幅、変容させたりして生まれた作品、そして芥川龍之介の『蜘蛛の糸』をめぐる作品まで、多様な表現に焦点を当てる。
章立てと各章の出品作家は以下。
Ⅰ.蜘蛛の糸をみつめて
山本渓山、飯室昌栩、柴田是真、小茂田青樹、速水御舟、熊谷守一、新宮晋、中谷芙二子、満田晴穂 ほか
Ⅱ.象徴としての蜘蛛の糸
月岡芳年、西川祐信、山本芳翠、上村松園、福沢一郎、山口薫、橘小夢、工藤哲巳、荒木経惟、森村泰昌、猪瀬光、小柳裕 ほか
Ⅲ.芥川龍之介 『蜘蛛の糸』
鴨居玲、秦テルヲ、籔内佐斗司、戸谷成雄、イケムラレイコ、ムットーニ、小林正人、小泉明郎、青木千絵 ほか
Ⅳ.アラクネの末裔
草間彌生、田中敦子、塩田千春、手塚愛子 ほか
Ⅴ.蜘蛛の巣のように立ち現れるものたち
浅野弥衛、秋山陽、青木野枝、狗巻賢二、小川信治、額田宣彦、さかぎしよしおう、法貴信也ほか
Ⅵ.見えない糸、希望の糸
人工合成クモ糸繊維「QMONOS」、岡本柳南、加藤翼、ミヤギフトシ ほか
【会期】2016年10月15日(土)~12月25日(日)
【会場】豊田市美術館(愛知県豊田市小坂本町8-5-1)
【TEL】0565-34-6610
【休館】月曜
【開館】10:00~17:30(入場は17:00まで)
【料金】一般1,000円 高校・大学生800円 中学生以下無料 ※障がい者(介添者1名)、豊田市内在住・在学高校生、豊田市内75才以上は無料[要証明]
【関連イベント】
講演会「クモの賢さと美しさ」
講師:奥本大三郎(フランス文学者、埼玉大学名誉教授、NPO日本アンリ・ファーブル会理事長、ファーブル昆虫館館長)
日時:10月29日(土) 14:00~15:30
会場:美術館1階講堂
定員:172名(先着順)
講演会「小袖にみるクモの巣文様」
講師:藤井享子(東海大学、群馬県立女子大学非常勤講師)
日時:12月17日(土) 14:00~15:30
会場:高橋節郎館内ワークショップルーム
定員:50名(先着順)
【関連リンク】豊田市美術館