詩情あふれるその作風から、今も多くの人々に愛される清宮質文(せいみや・なおぶみ 1917~91)。水戸市内の墓地に眠る茨城県ゆかりの版画家の生誕100年を記念して、その全体像を紹介する大回顧展が茨城県近代美術館で開催される。
清宮は東京生まれ、本籍は茨城県。東京美術学校(現・東京藝術大学)で油絵を学び、教員生活を経て53年から制作に専念した。それから本格的に木版画へ取り組み、54年から77年まで春陽展に出品、以後は個展を中心に発表を続けた。
清宮が追い求めたものは、版による複製性よりも、「彫り」の線や「摺り」による色の重なりである。油性インクではなく透明水彩を用い、摺りごとに色調を微妙に変化させ、版画ならではの表現を目指した。また、版画であっても1枚、あるいは数枚しか摺られなかった作品が多く、摺りの少ない作例に触れる好機ともなるだろう。
今展では、年代順に制作テーマの変遷を追いながら、木版を中心に水彩画、ガラス絵など191点の作品を紹介。実際の版木も展示され、清宮の制作について垣間見ることができる。会期中には一部展示替えがある。
【展覧会】 生誕100年 清宮質文 あの夕日の彼方へ
【会期】 2018年2月23日(金)~4月8日(日)
【会場】 茨城県近代美術館(水戸市千波町東久保666―1)
【TEL】 029―243―5111
【休館】 4月2日(月)
【開館】 9:30~17:00(入場は16:30まで)
【料金】 一般980円 高大生720円 小中生360円
【関連リンク】 茨城県近代美術館
■講演+実演「清宮の木版技法のツボ」
【開催】 3月4日(日) 14:00~15:30
【講師】 岩佐徹(版画家)
【会場】 同館地階講堂
【料金】 無料、事前申込不要
【定員】 250名
■学芸員によるギャラリートーク
【開催】 3月11日(日) 14:00~15:00
【講師】 井野功一(同館首席学芸員)
【会場】 同館企画展示室
【料金】 要企画展チケット
【定員】 無し
■ミュージアムコンサート「好文の梅 華麗なる桜 春の一日〝箏〟の花を咲かせます」
【開催】 3月18日(日) 14:00~15:30
【出演】 水野箏曲会(代表 水野紀美子氏 他会員)、賛助出演 内田有一氏(クラリネット)
【曲目】 「湧き出づる力」、「春の海」、「さくら」他
【会場】 同館地階講堂
【料金】 参加無料、事前申込不要
【定員】 250名程度
■ワークショップ&トーク「ガラス絵~心の中の閃光~」
【開催】 3月24日(土) 11:30~16:30
【講師】 山中現(画家・版画家)
【会場】 同館地階講座室、展示室
【料金】 700円(材料費)、来館か往復ハガキで事前申込(締切:3月9日(金)ハガキ必着)
【定員】 先着30名