2014年の美術市場について、依頼されて改めて考えてみた時、私が専門としている国内の近現代の美術市場においては、前年からあまり大きな変化はなかった様に思われる。アベノミクスの経済政策が行なわれてから2年過ぎて、経済指標は一部好転してきたとはいえ、美術市場にその兆はあまりみられない。
しかし、この一年ということではないが、高品質の作品は相変わらず予想外の高価格で取引されることが多いことを考えると、問題は中間に位置する作品群に対する需要が低調だということだろう。
最近は若い作家がメディアに取り上げられることが多くなった。それに比して、かつて活躍した実力作家の影が薄くなってきているのは寂しい。どう考えても値段が逆ではないのか、と思う様なケースにもしばしば出会う。良い素質を持った若い作家達も見られる中、写真で良いのではないかと思うものや本来の美術(何がそうなのか、と言われると些か困るのだが)というよりもサブカルチャーとしてみた方が相応しいのではないかと思われるものもある。そしてそれ等が、同じ土俵の上に並べられ、見られ、論じられていることにも違和感を覚える。これは私の年齢的な要因によるものなのだろうか。同様の思いを持っている仲間も居るのだが。
ともかく、若い作家達には地に足の着いた制作活動をしていっていただきたいと思うし、また、美術市場において中核を形作っている愛好家の方にも、新しい年には再び元気を取戻していただきたいと願う次第です。