書

     
   

かすかなる雲雀の声 どこからだ どこに身を潜めているんだ<br />
姿は見当たらぬ 雲の中を漂うているのか 私の耳に声だけを届けてくれるのか <br />
空の裡に消えた雲雀 惜別の一声が心に染む<br />
いずこの高空(たかぞら)を飛翔しつゝ 生き抜いてくれ。祈りを込めた作。


平成二十三年三月十一日の東日本大震災発生後、「やはり向こう三軒両隣にちらほらするただの人である」(夏目漱石『草枕』)のこの言葉が日本人の国民性の中心にあり、被災者の心情の中心にもある「遠い親戚より近くの他人」見る人の心にしみ入る表現でシットリと制作した作品です。

   

 
 

川口 青澄

KAWAGUCHI SEICHO

読売書法会理事、千紫会常任総務、松声会理事長
 
1936年愛知県生まれ。鈴木翠軒、小暮青風に師事。現在まで日展入選4回。89年読売書法展読売新聞社賞受賞(同94年)。現在、読売書法会理事、千紫会常任総務、松声会理事長などの要職を務めるほか、青濤会を主宰する。

 
     

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