和服姿で颯爽と展覧会を駆け巡る
1月より美術評論家連盟の会長に就任した。同会の正式名称はInternational Association of Art Critics,Japan=国際美術評論家連盟日本支部(本部パリ)。前身の団体を経て1954年、国際組織に加盟した。任意の親睦団体で、学芸員や大学教員が主、現在会員数161名。プレスカードにより欧州、アメリカでは美術館・博物館が入場無料となる。
最初に手を付けたいことは、「現実に即し、〈日本美術評論家連盟〉に名称変更したい。また若手批評家や領域を跨いで優秀な評論活動をする人々を勧誘し、組織の足腰を鍛えたい」など。
氏は近年相次いで亡くなった戦後派批評の御三家・針生一郎、東野芳明、中原佑介各氏らの次世代にあたる。現状に対し、「批評を闘わせる活字媒体が見当たらず、美術評論の場が貧弱になった」と嘆き、学芸員・評論家が現場を回らずWEBに頼っていることにも「ひとつひとつの作品を見るという最低限のことが出来ないのは情けない」と溜息をつく。
東大仏文科時代から20世紀フランスの作家で芸術思想家アンドレ・マルローに深く傾倒。毎日新聞社事業部でいまや伝説的な「人間と物質展」など現代美術展を担当後、美術評論の道へ。もの派の研究、現代彫刻論などを柱に、「平行芸術展」「かめ座のしるし」他多数を企画した。30年前から奥様見立ての和服を愛用、今日も颯爽と展覧会を駆け巡る。
「新美術新聞」2012年3月21日号(第1275号)1面より