鎌倉時代の初め康慶・運慶・快慶ら慶派仏師の手によって新しい仏像の様式が奈良の地に結実した。将軍や御家人など鎌倉幕府の要人が、自ら建てた寺院の造仏にも競って慶派仏師を登用、その結果鎌倉をはじめ東国地域に急速に浸透していったとされる。
鎌倉には最先端の禅宗文化が花開き、中国風の仏像も生み出されたため、この地域にバリエーションに富んだ仏教彫刻が残された。1923(大正12)年の関東大震災で被害を受けた鎌倉とその周辺寺社の文化財を保護し、それらを広く一般の観覧に供する目的で鎌倉国宝館は設立された。それゆえこの地域の貴重な作品の数々が所蔵・寄託され、鎌倉および東国の仏教美術、わけても仏像の全貌を把握することのできる優れた作品が常時展観されてきたのである。
今回の「武家の都 鎌倉の仏像」展は、その鎌倉国宝館に所蔵・寄託される仏教彫刻の優品を主に、仏教絵画を加え、近隣の寺社からの仏像も出品され、それらが一堂に会することによって、奈良から生まれ鎌倉に根付いた仏像の様相を展観するもの。
関東地方以外の地域でこのようにまとまった展示される初の試みだ。とりわけ鎌倉時代彫刻の発祥の地ともいうべき、奈良の地で公開されることの意義は大きい。
出陳件数53件、うち重要文化財は26件、真に貴重な機会である。主な出品に「十二神将立像」12軀(かまくら国宝館)、「初江王坐像」1軀(神奈川・円応寺)、「観音菩薩像」1軀(神奈川・浄光明寺)
【会期】 4月5日(土)~6月1日(日)
【会場】 奈良国立博物館(奈良県奈良市登大路町50 奈良公園内) ☎050-5542-8600
【休館】月曜ただし4月28日(月)、5月5日(月)は開館、5月7日(水)は休館
【開館時間】 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで) ※4月25日(金)以降の毎週金曜日は19時まで開館
【料金】 一般1300円 高校・大学生800円 小・中学生500円
【関連リンク】 奈良国立博物館
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「新美術新聞」2014年4月1日号(第1340号)1面より