「文化芸術立国」の実現へ険しい船出
平成26年度の国家予算が3月20日成立し、文化庁予算が確定した。約1036億円(以下「約」省略)となり、昨年平成25年度の1033億円と比較し、2.5億円(0.24%)増となった。下村博文文部科学大臣が昨年5月に「2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに予算を倍増させる」とした「文化芸術立国」に向けたプランを実現するため、昨年の概算要求では対前年度比183億円増(17・7%)の1216億円を要求したが、財務省には通らず、例年並みの予算で決着した。
平成26年度国家予算=一般会計歳出総額95兆8823億円に占める文部科学関係予算は5兆3627億円(5.6%)=前年度比69億円増、その内、文化庁予算は1036億円となり、国家予算に占める割合はわずか0.1%。一般会計歳出総額から赤字分の国債費(利払費等+債務償還費)23兆2702億円を引いた政策的経費72兆6121億円としても国家予算の0.14%である。
その内訳は、「世界に誇るべき『文化芸術立国』の実現~2020年に日本が文化芸術交流のハブとなる~」を目標に、大きく4項目から構成される。
①「豊かな文化芸術の創造と人材育成(198.3億円)」
②「かけがえのない文化財の保存、活用及び継承等(444.7億円)」
③「我が国の多彩な文化芸術の発信と国際文化交流の推進(28.4億円)」
④「文化発信を支える基盤の整備・充実(338.9億円)」
他に東日本大震災復興特別会計として国指定等文化財の復旧等25.6億円を計上した。
主な増額項目に
①中の「文化芸術による『創造力・想像力』豊かな子供の育成(5.8億円増)」
②中の「文化財修理の抜本的強化・防災対策等の充実(3.8億円増)」
③中の「日本文化の発信・交流の推進(4.3億円増)」
逆に、主な減額項目は
①中の「文化芸術創造活動への効果的な支援(2.4億円減)」「芸術家等の人材育成(2.3億円減)」
④中の「国立文化施設の機能強化等(1.6億円減、ただし平成25年度補正予算に30億円の措置)となっている。
文部科学関係予算の中で、我が国の将来を担う次世代の育成など「教育再生」を含む文教関係には302億円、2020年を見据えたスポーツ関係には12億円の予算が増額された。しかし、昨年予算倍増の狼煙を上げたにも関わらず、文化庁予算は微増に止まった。3月28日付、2020年に向けた「文化芸術立国中期プラン」(下村プラン)が公表されたが、下村文科大臣は「文化庁の枠だけで考えたら今の財政状況では難しい。国家戦略として文化芸術に取り組む必要がある。政府全体で日本を文化芸術立国として確実なものにしていきたい」と、一歩先の見解を述べた。
「新美術新聞」2014年4月11日号(第1341号)3面より