重要文化財は50件
文化審議会(宮田亮平会長)は、3月18日に開いた同審議会で<考古資料の部>の重要文化財「土偶」一箇を国宝1件(美術工芸品)に、50件の美術工芸品を重要文化財に指定、重要文化財の指定解除1件を下村博文・文部科学大臣に答申した。
「土偶」は、縄文時代の土偶造形の中で大形の中空土偶の優品で全ての破片が接合し、完形(かんけい)に復元されている。平成18年、重要文化財に指定されたが、近年各地で開催された土偶の展覧会でその評価が高まり、また縄文時代研究の中でも中ッ原遺跡から出土した土偶の系統・型式学的位置付けがより明確にされた。本件は、縄文時代における土偶造形の頂点に位置づけられる資料であり、その出土状態も明らかである点から国宝に指定するものであるとされた。
また狩野山雪「紙本墨画淡彩寒山拾得図」(宗教法人真正極楽寺)ほか50件を重要文化財に指定するよう求めた。重文の指定解除は彫刻の部で1件あった。「木造一遍上人立像」(宗教法人宝厳寺、明治34年3月27日指定)。平成25年8月10日に像を安置する本堂が火災により全焼。火の回りが早かったため搬出できず、火災後現場に像の断片等を確認できなかったが、状況からみて形骸も残さず消失したものとみられるため指定を解除するとした。答申はそのまま認められる。
新規指定件数と合わせると美術工芸品の国宝は872件、重要文化財は10573件となる。
他の主な重文指定は次の通り。(カッコ内は所有者または保管者)
〈絵画〉狩野宗秀筆「紙本金地着色四季花鳥図」(大阪市)▽村上華岳筆「裸婦図」(山種美術財団)▽山本芳翠筆「裸婦」(岐阜県)
〈彫刻〉康猶作「木造徳川家康坐像」「木造徳川秀忠坐像」(宗教法人知恩院)など。
「新美術新聞」2014年4月21日号(第1342号)3面より