石井県知事 基本設計を発表
雪山館長 「“見る”からアートを通じた交流の場に」
富山県の石井隆一知事は4月初旬記者会見し、現在地からJR富山駅近くの富山運河環水公園内に移転新築する「新県立近代美術館」の基本設計や完成予想図など概要を発表した。
それによると正面はガラス張りで明るく開放的なデザイン。計画の理念として20世紀の美術およびデザインの素晴らしさを、最もよいかたちで展示しうる、全国に先駆けた「次世代の美術館」を創出する、とした。概算工事費は約76億円。設計業者は内藤廣建築設計事務所。
新美術館では1階県民ギャラリーや3階休憩スペース、屋上庭園などは無料。2階の常設・企画展示室、3階のポスターコレクション展示室、富山市出身の詩人・美術評論家瀧口修造や世界的ヴァイオリン奏者シモン・ゴールドベルグの寄贈品展示室は有料となる。
今後のスケジュールについては、建物施工業者の入札等が順調に進めば、今年暮れごろに着工し、2016年3月末までに工事の完了、引渡しになるが、「枯らし期間」(※)を半年程度経るとなると、美術館開館は同年秋以降になる。
雪山行二・富山県立近代美術館長は「これから実施設計に入りスタートし、第2ステージとなります。いま美術館は単に鑑賞するスタイルから美術館側が作品と来館者を結ぶ方向にある。見るだけでなく、創る・遊ぶ・学ぶなどのアートを媒介に市民、愛好家らの交流の場を目指したい」と語った。
※VOC(揮発性有機化合物)濃度を指針値以下に下げるために行う放置・乾燥期間
「新美術新聞」2014年5月21日号(第1344号)3面より