昨夏、東京都写真美術館で好評をはくした写真家・米田知子(1965年兵庫県生まれ)の回顧展「米田知子 暗なきところで逢えれば」が故郷である兵庫県に巡回、西日本初の大規模回顧展として開催される。
米田は1989年にイリノイ大学シカゴ校芸術学部写真学科を卒業後に渡英、91年ロイヤル・カレッジオブアート修士課程修了、現在もロンドンに在住し活動を続けている。これまで第52回ヴェネチア・ビエンナーレ(2011年)をはじめ、横浜トリエンナーレ(同年)、あいちトリエンナーレ(13年)に参加するなど、国内外を問わず作品を発表してきた。また今年に入ってからは「米田智子 暗なきところで逢えれば」(東京都写真美術館)が評価され、平成25年度(第64回)芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞している。
今展タイトルである「暗なきところで逢えれば」とはジョージ・オーウェルの小説「1984年」に登場する一節。全体主義的な管理社会の恐怖を描いた同作の中で、常時監視を受ける状況下で主人公ウィンストン・スミスが発する言葉となっている。そして米田は同書の中の別の部分を次のように引用している。
それは見えているのだが、見えていないということと同じかもしれない。
見えないということは見えているということに等しいかもしれない。
米田の作品は過去に何かが起こった場所や今は見えない記憶を留めたものの現在を写し取る。不可視なものを白日に晒すのではなく、垣間見せるようにありふれた様子で見せる。それぞれを噛みしめるように見ることで、そこに積み重ねられた歴史や、人々の記憶の集積に思いを至らせ、そして「見えない」ということをリアルに感じることができるだろう。
【会期】9月13日(土)~11月3日(月・祝)
【会場】姫路市立美術館(兵庫県姫路市本町68-25) TEL 079-222-2288
【開館時間】10:00~17:00(入場は閉館30分前まで)
【休館】月曜(※祝日のときは開館、翌日休館)
【料金】一般1000(800)円 大学・高校生600(400)円 中・小学生200(100)円 ※()内は前売り料金、今展チケットで常設展も観覧可。
■対談+サイン会 黒川創(作家)×米田知子
【日時】9月20日(土)14:00~(13:30開場)
【会場】姫路市立美術館 2階講堂
※参加費無料。当日先着100人。サインは同館で購入の今展図録に限る。
■アーティスト・トーク
【日時】9月13日(土)11:00~
【会場】姫路市立美術館 企画展示室
※当日10:30に展示室前にて整理券配布。要観覧券。当日先着20人。
■解説会 同館学芸員が展覧会の見どころを解説
【日時】10月11日(土)14:00~
【会場】姫路市立美術館 2階講堂
※参加費無料。当日先着100人。
■子どもギャラリーツアー「見えてくるもの」
【日時】9月20日(土)9:10~ 小学校1~3年生対象/10月4日(土)9:10~ 小学校4~6年生対象
【会場】姫路市立美術館 企画展示室
※要観覧券。各日先着20人。大人も参加・見学可。
【関連リンク】姫路市立美術館
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