若手画家の創作活動を応援し、具象絵画の可能性を開くことを目的にした第7回絹谷幸二賞(主催:毎日新聞社、協賛:三井物産)の受賞者が発表された。今回絹谷幸二賞に輝いたのは谷原菜摘子氏(1989年埼玉県生まれ、京都市立芸術大学大学院絵画専攻油画在籍)、また奨励賞には先の第18回岡本太郎現代芸術賞で岡本敏子賞を受賞した久松知子氏(1991年三重県生まれ、東北芸術工科大学大学院修士課程芸術文化専攻日本画領域在籍)が選ばれた。受賞者には本賞100万円、奨励賞50万円がそれぞれ贈呈される。贈呈式は3月16日に東京都千代田区の学士会館で執り行われる。
谷原氏は2014年11月に行われた奈良・町屋の芸術祭「はならぁと Creator Creature Gathering Festival」旧たき万旅館 生駒宝山寺参道での展示が受賞対象となった。また久松氏は2014年2月の東方九芸術工科大学卒業/終了 研究・制作展(山形、東京)および同年5月のグループ展「LITTLE AKIHABARA MARKET-日本的イコノロジーの復興」(A/D gallery、東京・六本木)の3カ所で展示された「日本の美術を埋葬する」が対象とされた。
同賞は現代日本を代表する画家のひとりで日本藝術院会員・独立美術協会会員として活躍する絹谷幸二氏(東京藝大名誉教授、大阪芸大教授)が、08年に「これからの若い画家を少しでも励ましたい」と毎日新聞社に提案、その意志を受けて創設された。絹谷氏はかつて洋画壇の登竜門とされた安井賞展(96年度で終了)で大賞を受賞、その励ましから後の画家人生に大きな力を得たという自らの体験が賞創設の元にある。同氏が資金を提供(ただし賞審査等には一切関わらない)、毎日新聞社が主催し、三井物産が協賛に加わる。
賞の選考は、毎日新聞社が全国の美術館学芸員や評論家、ジャーナリストら56人に推薦を依頼。そのうち34人から回答があった。推薦された候補者は22歳から35歳までの30人で男性が8人、女性が22人を占めた。候補者からのポートフォリオを選考委員3人が精査した一次選考、そして数を絞り込み作家の自宅やアトリエでの実作品チェックなどの2次選考を経て論議を重ね、最終的に受賞者が決定した。
◆推薦作家
赤松亜美、淺井裕介、生島国宜、今井麗、瓜生祐子、衣川明子、興梠優護、児玉香織、後藤拓朗、小西紀行、衣真一郎、高松明日香、武内明子、田中千智、谷原菜摘子、谷保玲奈、玉井祥子、中園孔二、箱嶋泰美、蓮輪友子、久松知子、風能奈々、堀江栞、堀川すなお、三井淑香、守屋亜矢子、八頭司昂、山内望起子、横野明日香、吉岡千尋
◆回答した推薦者
尾崎信一郎、翁長直樹、O JUN、加藤義夫、川浪千鶴、岸桂子、黒田雷児、児島やよい、小松崎拓男、坂本顕子、渋沢和彦、清水有香、正路佐知子、角奈緒子、高階秀爾、竹口浩司、徳山拓一、中井康之、名古屋覚、西澤美子、野地耕一郎、土方明司、藤田一人、藤本真帆、保坂健二朗、堀元彰、本田代志子、牧野裕二、三井知行、宮本武典、村田真、山口裕美、山中俊弘、和田浩一
(人名は50音順、敬称略)