国宝1件、重要文化財10件が新指定
文化審議会(宮田亮平会長)は5月15日(金)に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに1件の建造物(新規1件)を国宝に、10件の建造物(新規9件、追加1件)を重要文化財に指定することを文部科学大臣に答申した。この結果、近日中に行われる官報告示を経て国宝・重要文化財(建造物)は2,437件、4,732棟(うち国宝222件、272棟を含む)となる。
今回の答申では現在東京都庭園美術館本館として親しまれている旧朝香宮邸が新たに重要文化財として指定。同邸は昭和8年に朝香宮鳩彦王の住宅として建てられた鉄筋コンクリート造2階建(一部3階建)で、簡明な意匠の外観としながら、内部は当時最新のフランスの芸術作品を主要室に配し、濃密で洗練されたアール・デコ意匠でまとめられており、答申では宮内省内匠寮による邸宅建築の頂点のひとつとして価値が高いとされた。
庭園美術館は約3年にわたる大規模な改修工事を経て、昨年11月22日にリニューアルオープン。東京都指定文化財でもある旧朝香宮邸を継承した本館の設備改修、ならびに建物保存を目的とした調査、修復、復原を実施し、また本館に隣接するかたちで現代美術家・杉本博司がアドバイザーをつとめた新館が誕生したことでも話題を呼んだ。同館は今回の指定に関して「今後も旧朝香宮邸の歴史的価値の保護に努めるとともに、美術館として有効活用することで、その価値を広く社会に伝えていきます。次回の展覧会『アール・デコの邸宅美術館建築をみる 2015』でじっくりと見ていただきたい」としている。
なおその他の指定は次の通り。
国宝=松江城天守
重要文化財=旧新町紡績所、浅草寺伝法院、国道一号箱根湯本道路施設、中村屋住宅、思子淵神社、日本聖公会奈良基督教会、内子座、今村天主堂、奥家住宅(追加)
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