オスカー・ニーマイヤー展 ブラジルの世界遺産をつくった男
ブラジルのモダニズム建築の父、オスカー・ニーマイヤー(1907~2012)の日本初となる大回顧展が東京都現代美術館で開催される。会場デザインはSANAA。
ブラジル国内の主要な建築の設計を手がけ、そのユニークな創造性によって内外で高い評価をうけ、アメリカ建築家協会ゴールドメダル、プリツカー賞、高松宮殿下記念世界文化賞など数々の建築賞やレーニン国際平和賞を受賞したニーマイヤー。今展では、2012年に104歳で亡くなる直前まで精力的に設計を続けていた伝説的なカリスマのほぼ1世紀にわたる建築デザイン活動の全貌を、図面、模型、写真、映像などによって紹介する。
リオデジャネイロに生まれたニーマイヤーは、リオデジャネイロ国立芸術大学建築学科で学び、師ルシオ・コスタとともに建築事務所を設立。モダニズム建築の巨匠である、ル・コルビュジエとの出会いのあと、彼とルシオ・コスタとともにリオデジャネイロの教育保健省(1936)の設計に携った。またすでにパンプーリャ・コンプレックスの設計で建築家としての地位を確立していたニーマイヤーは、再びコルビュジエとともにニューヨーク国連本部ビルの設計(1947)にも携わる。
そんなニーマイヤーが遺した偉大な仕事が、1950年代国家の大プロジェクトである首都ブラジリアの設計だ。ブラジリアを構成する主要な建物設計(国民会議議事堂、大聖堂など)にたずさわり、創造性豊かな都市をつくりあげた。この成功は建築という概念を超えた歴史的イベントとして、ブラジルの名を世界に知らしめ、ブラジリアは1987年世界遺産に登録された。60年代のブラジルの軍事政権下、ニーマイヤーはパリに移りそこで20年活動。85年の帰国後は母国に戻り、多くの設計を行い、後進の育成にも努めた。「建築にとってアートはとても大切です」と語っていたニーマイヤーは、幼いころからドローイングを得意とし、描いた絵をじっとながめてそれが存在するようにたちあらわれると感じていたという。
ニーマイヤーのデザインは、フリーハンドの大胆さと自由さ、そしてそれを空間化していくときの身体感覚に満ちている。女性の身体に例えられるように有機的でダイナミックな曲線、生命感とモダニズムの幾何学の調和を特徴とし、その未来的な形は日本の建築家にも多くの影響を与えてきた。今展ではブラジルの光をおもわせる白を基調として、ダイナミックでモダン且つ有機的な曲線で会場を構成。ニーマイヤーの代表的な建築物を様々なサイズの模型で展示し、代表作の一つである、イビラプエラ公園の30分の1の模型を、約500㎡のアトリウムの大型空間でダイナミックに展開する。
【会期】2015年7月18日(土)~10月12日(月・祝)
【会場】東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
【TEL】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【休館】月曜(7/20、9/21、10/12は開館))、7月21日、9月24日
【開館】10:00~18:00(7~9月の金曜日は21:00まで、入場はそれぞれ閉館30分前まで)
【料金】一般1,100円 大学生・専門学校生・65歳以上800円 中高生600円 小学生以下無料
【関連リンク】東京都現代美術館
■SANAAトークイベント 「We Love Niemeyer」(仮称)
【日時】2015年8月22日(土) 15:00~
【会場】東京都現代美術館 地下2F講堂
【スピーカー】SANAA事務所 妹島和世氏・西沢立衛氏(今展会場構成担当)、長谷川祐子(東京都現代美術館 チーフキュレーター)