1月30日に横浜美術館で開幕した「村上隆のスーパーフラット・コレクション」が大きな話題となっている。現代美術家として知られる村上隆氏が私財を投じて蒐集してきた約5000点におよぶコレクションの中からおよそ400点を紹介するこの展覧会。美術館に入るとまずグランドギャラリーでアンゼルム・キーファーの巨大な作品が来場者を迎え、度肝を抜かれた人も多いだろう。会場では古美術から現代美術まで、極めて多様な作品が並び、その幅の広さとバリエーションの豊かさにSNSなどで多くの驚きの声が上がっている。この展覧会を見てあらためて「アートコレクション」に興味を持った人も多いのではないだろうか。
日本のアートコレクターといえば現代美術の分野では精神科医・高橋龍太郎氏(1946年生まれ)の「高橋コレクション」を筆頭に、ミスミグループの創業者である田口弘氏(1937年生まれ)の「タグチ・アートコレクション」(ミスミグループにはアメリカ現代美術に絞ったミスミ・アート・コレクションがある)、サラリーマンコレクターとして単著も出す宮津大輔氏(1963年生まれ)などが知られている。中でも高橋コレクションは「ネオテニージャパン 高橋コレクション」(09年、上野の森美術館)をはじめ、これまで多数の展覧会を日本各地で開催しているので、ご存知の方も多いだろう。
また過去を振り返れば自身の収集品を保存するために高輪美術館(現・セゾン現代美術館)を設立した堤康次郎や、ベネッセコーポレーションの創設者として直島をはじめとするベネッセアートサイトの礎を築いた福武哲彦、あるいは原邦造の私邸を原美術館として開館させた原俊夫など、実業家たちはいつの時代においても美術品をコレクションし、公開し、日本の芸術あるいは文化そのものに多大な影響を与えてきた。
そしてここにきて若手の実業家の中から新しいコレクターたちが台頭、新しい動きが見え始めている。ここでは3人の注目すべきアートコレクターを紹介しよう。