クレパスとの出会い
私はそれまでずっと油彩を描いていましたが、画材がなかなか手に馴染まず頭打ちになっていた時期がありました。
そんな時「クレパス画展」が大阪の百貨店で開催されていると知り「クレパスってあの幼稚園児が使う??」と大した期待もせず行った会場で度肝を抜かれることに! 油彩と見間違うような重厚感、なのにパステルや水彩のような柔らかさもあり、今まで見たことのない新しい概念の画肌だったのです。数時間後、画材屋さんでクレパスセットを買う私の姿がありました。
クレパスは油性の顔料を蝋で棒状に固めた画材。クレヨンの定着性とパステルの表現性を融合させたような画材で、大正14年に桜クレイヨン商会(現、㈱サクラクレパス)が開発した日本生まれの洋画材料です。厚塗り薄塗りはもちろん、溶かしたり盛り上げたり、引っ掻いたり削ったりぼかしたり、様々な表現が可能。意外にも修正も容易。乾き待ちがないので、今描きたいものの結果を即座に得ることができる。画期的だったのが、不安定で弱い表現が簡単にできること。これは私の絵画性を大きく広げることになりました。
クレパスは子どものためのものではなく、今やプロが使うべき本格的な画材。この底なしの可能性を秘めたクレパスで、まだ知らない絵画ファンをあっと驚かせたいですね。
土井久幸 (どい・ひさゆき)
洋画家、独立美術協会準会員、Doi絵画教室主宰。1976年和歌山県生まれ。2015年、第50回昭和会展で「昭和会賞」を受賞。
今後の発表予定は関西独立展(3月23日~27日、大阪市立美術館)、独立春季新人選抜展(4月1日~6日、東京都美術館)、グループ究展(7月4日~10日、東京銀座画廊・美術館)、グループ8展(7月25日~30日、画廊宮坂)、その他に太陽展(5月18日~31日、日動画廊)、夏の会展(7月14日~26日、日動画廊)、50の顔(8月23日~9月4日、REIJINSHA GALLERY)、ミニヨン展(日程未定、日動画廊)など多数。
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