『伊豆の踊子』『雪国』『眠れる美女』といった小説作品で知られる川端康成(1899~1972)。日本人初のノーベル文学賞受賞作家である川端は、美術にも造詣が深く、美術コレクターとしても知られる。その「川端コレクション」に新たな切り口も加えた展覧会が、福岡の久留米市美術館で開催されている。
川端コレクションは、縄文時代のものから、当時、新人作家であった草間彌生などまで、油彩画、日本画、工芸と幅広い分野・年代の膨大な美術品より構成される。今展ではさらに他の美術館などから作品を借用し、川端が古賀春江、東山魁夷らの作品を入手するエピソードを交えて展示したり、安田靫彦、岡鹿之助、小林古径といった美術家による装幀や、九州との結びつきなどを紹介する。
新たな切り口は、川端康成という作家を通し、美術と文学がいかに交錯したかに迫るというもの。実在の画家や美術作品の登場する川端作品に注目し、美術体験が作家活動の糧となっていた姿を明らかにする。
出品点数は、初版本や原稿などの資料も含めて約160点。5月13日(土)には、コレクションの中でも比較的作品数の多い一人、古賀春江との交流について、森山秀子・久留米市美術館副館長兼学芸課長による講演会が予定される。
【展覧会】 川端康成 美と文学の森
【会期】 2017年4月1日(土)~5月21日(日)
【会場】 久留米市美術館(福岡県久留米市野中町1015)
【TEL】 0942-39-1131
【休館日】 月曜、5月1日(月)は開館
【開館】 10:00~17:00(入館は16:30まで)
【料金】 一般1000円 シニア700円 大高生500円
【関連リンク】 久留米市美術館
■美術講座
「川端康成と古賀春江」
講師:森山秀子(久留米市美術館副館長兼学芸課長)
日時:2017年5月13日(土) 14:00~15:30
会場:同館本館1階多目的ルーム
※定員は各回先着70名、聴講無料(要本展チケット)