「アートカード」は、美術作品の画像をカード化したもので、様々な遊び方を通して美術作品に関心を深めることができるツールです。多くの美術館で制作され、学校教育では美術作品の鑑賞用教材として活用されています。
福島県立美術館アートカードセット「ぽけっとアート」は、平成25年に当館で開催した「若冲が来てくれました プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」展において、所蔵作品をご出品いただいた米国の日本美術収集家エツコ&ジョー・プライスご夫妻から、福島県の子ども達に対する美術教育や美術普及活動への支援を目的に、ご寄付いただいた浄財を原資としています。
県内の子ども達に当館の収蔵作品をはじめ、福島県の美術作家及び作品に関心を寄せ、広く美術文化に興味を抱くきっかけをつくりだすこと。そこからさらに鑑賞を深め、豊かな感性や情操を育むことを目的に、約2年の月日をかけ制作しました。制作にあたっては、県内の小学校から高校までの教員、大学教授や作家に協力を仰ぎながら「アートカード制作検討会」を組織し、ミーティングや実践研究を繰り返しながら、より良いものを目指し進めました。
カードは、はがき大で80枚。ベン・シャーン《ラッキードラゴン》や斎藤清《競艶》など当館所蔵の約3,500点の作品の中から、子ども達の興味関心を軸に、作品の色や形、構成や物語性、平面や立体など様々な視点を考慮し選び出されました。
その他に、遊び方や作品解説などが記載されたガイドブックと、作品同士の大きさを比較することができるA2サイズの「大きさくらべシート」がセットになって、美術作品に詳しくなくても、すぐにゲームを楽しむことができるよう工夫しています。
ぽけっとアートは、今年度4月から県内の各学校、教育機関へ貸出を開始しました。すでに多くの学校から貸出希望を受け、県内各地に発送をしております。 今後は、周知活動に力を入れるとともに、実践や活用方法の紹介及び美術館と学校間の情報共有を図りながら、美術館を起点とした、ぽけっとアートの輪を拡げていくことに力を注いでいきたいと考えています。
(福島県立美術館主任学芸員)
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