日本画家・川端龍子の没後50年特別展「龍子の生きざまを見よ!」が、いよいよ開幕した(会期は12月3日(日)まで)。龍子自身が発意、設計した龍子記念館において開催する本展は、生誕の地である和歌山に所蔵されている作品を中心に、他館から拝借した50点をこえる作品によって3章からなる構成としている。
まず、第1章「青龍社を率いる・龍子」では、庭木を装飾性豊かに描いた《新樹の曲》(昭和7年、東京国立近代美術館蔵)や、青龍社20周年記念展出品の《狩人の幻想》(昭和23年、和歌山県立近代美術館蔵)といった作品から、龍子の代名詞ともいえる「会場藝術」が実践された大画面の作品をご堪能いただきたい。
次に、第2章「日本画壇の巨匠・龍子」では、昭和29年に開催された龍子と横山大観、川合玉堂による三巨匠展に出品された大観《花吹雪》、玉堂《月天心》、龍子《若鮎》(いずれもパラミタミュージアム蔵)などの展示から、日本画壇の巨匠として龍子が大成する過程に注目した。
第3章「情に満ちた画家・龍子」では、戦後、霊場巡礼に赴いて制作された《西国巡礼草描》(村上三島記念館蔵)など多彩な小品をとり上げ、龍子の画業を幅広く紹介している。
そして、特筆すべきは、龍子旧蔵の仏像3体(掲載写真参照)の特別出品である。戦後、龍子は信仰心を深めていき、自邸内に仏像を納めるための持仏堂を建造した。かつてその仕切りには、伝 俵屋宗達《桜芥子図襖》(1624~43年頃、当館蔵)が取り付けられ、持仏堂をきらびやかに飾っていた。
今回、龍子旧蔵の仏像の出品に合わせ、東京藝術大学Arts & Science LAB.との共同プロジェクトによって、《桜芥子図襖》の複製を制作、4枚立の襖のうち2枚を仏像の背面に展示した。さらに、もう2枚は、記念館に隣接する龍子公園に保存されている龍子旧宅の持仏堂に設置し、画家の生活への美意識を再現することを試みた。力強い作品の背後にある画家の内面にもせまる本展をとおし、龍子のその「生きざま」をぜひ体感してほしい。
(木村拓也・大田区立龍子記念館学芸員)
「龍子の生きざまを見よ!」
【会期】 2017年11月3日(金・祝)~12月3日(日)
【会場】 太田区立龍子記念館(東京都大田区中央4-2-1)
【TEL】 03-3772-0680
【休館】 月曜
【開館】 9:00~16:30(入館は16:00まで)
【料金】 大人500円 小・中学生250円 65歳以上(要証明)と未就学児は無料
【関連リンク】 大田区立龍子記念館
■ギャラリートーク
【日時】 11月23日(木・祝)、12月3日(日) 各日13:00から
【会場】 同館展示室
【料金】 無料(ただし本展の観覧料が必要)
■龍子公園案内時刻
【日時】 開館日の10:00~、11:00~、14:00~(解説付き、各30分程度)