12月7日未明(日本時間)、11月11日にオープンしたルーブル美術館別館「ルーブル・アブダビ」が発した一つのツイートが世界中の注目を集めた「Da Vinci’s Salvator Mundi is coming to #LouvreAbuDhabi」(ダ・ヴィンチの《サルバトール・ムンディ》がルーヴル・アブダビへ)。
Da Vinci’s Salvator Mundi is coming to #LouvreAbuDhabi pic.twitter.com/Zdstx6YFZG
— Louvre Abu Dhabi (@LouvreAbuDhabi) 2017年12月6日
レオナルド・ダ・ヴィンチの《サルバトール・ムンディ(救世主)》。1500年頃に描かれたというこの作品はダ・ヴィンチの絵画のうち唯一の個人所有だった作品で、11月15日、“The last da Vinci”(最後のダ・ヴィンチ)としてNYクリスティーズで競売にかけられた。落札金額は絵画史上世界最高額となる約4億5千万ドル(約510億円)。パブロ・ピカソ《アルジェの女たち(バージョン”O”)》の約1億8千万ドルを大きく塗り替える結果に世界中が湧いた。
落札者は不明。クリスティーズは新たなオーナーを公表せず、500億という驚くべき金額を誰が用意したのか様々な憶測が飛び交った。米国、はたまた中国か中東の資産家か。いずれにしてもこれほどの金額を用意できる人物は限られる。“容疑者”には、実業家の劉益謙やウォルマートのアリス・ウォルトン、Amazonのジェフ・ベゾスらの名が挙げられていた。
そして本日12月8日(日本時間)、ついに落札者が明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが、《サルバトール・ムンディ》を落札したのはサウジアラビアのムハンマド・サルマン皇太子だと伝えたのだ。
A distant relative of the crown prince was the nominal winner of the da Vinci auction. ‘But he is a proxy for MBS.’https://t.co/pmRPYlicLm
— The Wall Street Journal (@WSJ) 2017年12月7日
ムハンマド・サルマン皇太子は1985年生まれ。今年6月に皇太子に昇格し王位継承者となった。第一副首相や国防大臣も兼ねるなど高齢の父国王に代わって実権を握り、同国の急進的な改革を進めてきた。11月には、王子11人を含む閣僚経験者や実業家およそ200名を汚職容疑で逮捕し、不正な財産の放棄を求めている。当初、ニューヨーク・タイムズが落札者はサウジのバデル王子だと報じていたが、約5000人いる王子の中の一人に過ぎず、資金力もない、アートコレクターとしても知られていない彼が落札者という報道に、直後から疑問の声が上がっていた。どうやらバデル王子はサルマン皇太子の“代理人”だったようだ。
なお現在のところ、《サルバトール・ムンディ》がいつからルーブル・アブダビで展示されるかは明らかになっていないようだ。続報が待たれる。
【関連リンク】「ルーヴル・アブダビ」公式サイト(英語)