大学を卒業後、ガラス学校での専門教育を経て早二年となりました。26歳という、業界の中ではルーキーオブルーキーとして見られる年齢ですが、自分の作品制作が出来ることを嬉しく思う日々です。
私が使用する材料は、主にガラス工芸用の板ガラスやガラスパウダーです。板ガラスは透明度の高さと発色の良さを求めて海外製のものを、ガラスパウダーは落ち着いた表面の質感を求めて日本製のものを使用しています。どちらも数値上は膨張率が合っていても、異なるメーカーで異なる色を用いるため、割れる可能性が必ずあります。それを極限まで減らすために、度重なる実験を繰り返します。
これらの材料を用いて、主に器型のオブジェを制作しています。その根本には伝統を重んじた作品づくりがしたいという思いがあるためです。その一方で、私くらいの年齢でガラス制作をしている人の大半は、ガラスの専門教育を受けています。そこで問われるのは「若さ溢れる新しいガラス作品の模索」です。ここで言う新しさとは「誰も見たことがない」という意味を含んでいるように感じます。しかし、流行や目新しさにとらわれるのではなく、先人たちの伝統的な仕事から多くのことを学び、それを現代という時代に焼き直していくことこそが、真の新しさにつながっていくのではないかと思います。
色々な情報が飛び交う昨今ですが、ものづくりの世界の伝統に敬意を払い、本流を見失わずに、自分の創作活動を模索したいと思います。
藤田創平(ふじた・そうへい)
2016年早稲田大学教育学部卒。その後富山ガラス造形研究所入所。18年現代ガラス展 in 山陽小野田入選、日本のガラス展入選。
9月3日まで「ガラス造形の創造と深化」展(樂翠亭美術館)出品中。7月31日〜8月20日「夏のうつわ展」(日本橋髙島屋)出品予定。