[ときの人] 森英恵さん 彫刻の森美術館・美ヶ原高原美術館 館長

2012年10月19日 13:44 カテゴリ:コラム

 

撮影:川島保彦

野外美術館に新しい風を

 

 

豊かな自然と数々の彫刻作品を楽しめる、ふたつの美術館の館長に7月5日就任した。はじめは驚いたが「大好きな美術館でしたから、お引き受けしました」と笑顔で話す。

 

「両館には素敵なものがたくさんあります。子どもの姿も多く、スタッフが愛情をもって彫刻を磨く姿とも出会える。その仲間になるのですから、嬉しいです」

 

清流・高津川の流れる島根県・六日市町に生まれた。同郷には、親しく交流する彫刻家の澄川喜一さんもいる。医者の父は美術に造詣が深く、家には多くの画集。高校生の頃は美術家も夢見たという。はじめてのパリでジャコメッティと出会った。「食事に誘われたのですが、当時、私はフランス語ができず、ご遠慮したのです」。

 

「手で創る」と名づけた展覧会や自身の財団を通し、若い作家を支援してきた。今の日本の創造的な現場は「少し暗い」という。「その中をかき分けて出てくる若い力の育成が、大切。そんな方々のグループ展が開けたら、おもしろいでしょうね」。

 

カメラを向けると、そっと壁にもたれる。一瞬にして、エレガントな空気が流れた。柔和な物腰には、世界で戦ってきた知性がきらめく。

 

1926年生まれ。ファッション・デザイナー。1996年に文化勲章受章。

 

【関連リンク】

彫刻の森美術館 公式ホームページ

美ヶ原高原美術館 公式ホームページ

 

「新美術新聞」2012年10月11日号(第1293号)1面より

 


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