[ときの人] 坂茂さん 建築家

2013年04月18日 18:06 カテゴリ:コラム

 

 

撮影:川島保彦

撮影:川島保彦

全ての人に 美しく、心地よい建築空間を

 

公共施設から災害支援まで―行動する建築家として注目されている。東日本大震災時も、紙管を用いた「避難所用簡易間仕切り」が大きな話題に。現在、初の大規模な展覧会「坂 茂 建築の考え方と作り方」が、水戸芸術館で開催中だ(5月12日(日)まで)。

 
会場では、建物の素材や仮設住宅をほぼ実寸大で展示した。「建築のコンセプトをわかりやすく伝えること。あまり建築に詳しくない人も楽しむことができる展示にしたかった」と明かす。

 

幼少期から大工の仕事に惹かれ、渡米して建築を学んだ。一貫して、美しく、機能的で、心地よい建築の可能性を探求し続けている。集大成のひとつが、フランスのポンピドー・センター・メスだ。「現代の美術館は、建築として魅力的で、かつ多様な作品の展示が可能なフレキシビリティが重要。同時に、特定の人だけではなく、あらゆる人に開かれた場所でなければならない」。その思いは、2015年春開館予定の大分県立美術館にも貫かれている。

 

目下、途上国の工場を拠点とした仮設住宅の供給システムを開発中だ。「たとえ仮設住宅であっても、住み心地がよくて美しくないと意味がない」とも。良質な建築の追求と、社会貢献―。活動の両輪は、ますます一体化していく。世界に広く眼を向けた活動の蓄積は、着実に、次代の建築を生み出す新しい力となるに違いない。東京都生まれ、55歳。

 

「新美術新聞」2013年4月11日号(第1309号)1面より

 

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