多機能な道具―リュック―
私は主に風景や植物を題材とした日本画を制作しています。そのためには野外でのスケッチ取材がおのずと必然的になり、時には山奥まで入っていくこともあります。その際私にとって欠かせない物はリュックです。
以前使用していたリュックは、開閉口が上部にあり、奥に入れた物を取り出す際は手前の物を一旦外に出さなければならないものでした。緊急の時や狭い場所の時にはかなりのストレスを感じていました。そういう経験を経て今では開閉口が正面側にあり、加えて大きく開き中が見やすいものを使用しています。またサイドには細かいポケットもたくさんついており、スケッチをする際必要な虫除けスプレー、日焼け止め、手袋、サングラスなどをたくさん入れることができます。
私はスケッチを鉛筆で描きますが、使用する鉛筆は百本を越えます。他にも消しゴムやシャーペン、カッターなどがありますが、それらをまとめてひとつの箱に収納しています。このリュックの最も気に入っているところは鉛筆道具箱を入れる調度いいスペースがあり、また簡単に取り出すことができるように設計してあるところです。
このようにひとつのリュックでもたくさんの機能性があり、私の要望に応えてくれます。そのお陰でストイックにスケッチに集中することができ、他の煩わしさやストレスを極力無くしてくれます。今ではなくてはならない感謝すべき道具です。
加来万周 (かく・ばんしゅう)
日本画家、日本美術院院友。最近の主な発表は「2014東美アートフェア(山下画廊ブース)」(10月17日~19日、東京美術倶楽部)など。
「新美術新聞」2014年10月1日号(第1356号)5面より
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