【画材考】 洋画家・設楽俊 「日々研究」

2016年12月19日 11:00 カテゴリ:コラム

 

 

日々研究

 

理系の頭ではないが、実験とか調査研究が好きな方だ。その事を再認識したのは日本大学藝術学部を卒業後、大学院に進学して受講した絵画特殊研究という当時2年間続きの講座だ。

 

ロバート・マッセイの『画家のための処方箋』という本をテキストに画材の研究に取り組んでいた。カンヴァスの地塗り、絵の具、溶き油等様々なカテゴリーに分かれていて細かい処方が指示されている。その再現に楽しさを覚えていた。特に印象的だったものは、乾燥凝乳チーズと石灰を混ぜて作る下地材の再現をしていた時だ。いくつものメーカーのパルメザンチーズを処方の指示に従い混ぜても全く上手く混ざらずゴムのようなものしかできず担当の先生と悩んでいた。先生がとある研究室に相談し、その回答が不純物が多いから湯煎して取り除けばいいのでは?ということだった。それはそれで面倒くさかったので、ふざけ半分で牛乳からチーズを作って乾燥させたものを混ぜたら成功した。その時の達成感は今も忘れられない。

 

以前は市販のオイルカンヴァスを使用していたが、最近では自家製エマルション地をカンヴァスに塗っている。オイルの比率を始め、白亜の分量も大学院当時研究していた処方箋に少しづつアレンジを加え、又滑かな表面の秘密はシッカロールではないか、と目にするとベビーパウダーを混ぜてみて、繊維質の影響か毛のようなものが生えてきて大笑いした。

 

このような失敗を経て、今では安定したエマルション地が作れるようになってきた。そんな事をしていないで、もっと枚数を描けとお叱りを受けそうだが、油絵の具という素材、それを支える材料に惹かれ制作している。

 

 

設楽俊「ダリア」2016年

設楽俊「ダリア」2016年

.

設楽 俊 (したら・すぐる)

 

1985年 埼玉県生まれ

2009年 日本大学大学院芸術学研究科造形芸術学科修了

2012年  設楽俊展(みゆき画廊、東京・銀座)

2014年

第49回昭和会展(主催・日動画廊)優秀賞

設楽俊絵画展(さくらさくギャラリー、東京・成城学園)

大山智子 設楽俊二人展(みゆき画廊、東京・銀座)

第51回太陽展(日動画廊、東京・銀座)以降毎年

色と形 展(ギャルリ・サロンドエス、東京・銀座)

N+N展2014 油絵の魅力・うつくしい いろ かたち マティエール ~世代を超えて伝わるもの~(練馬区立美術館、東京・練馬)

ミニヨン展(日動画廊、東京・銀座)以降毎年

2015年

設楽俊油彩展(埼玉画廊、埼玉・そごう川口店)

第50回 昭和会展(日動画廊、東京・銀座)

開廊25周年記念展(高輪画廊、東京・銀座)

設楽俊展(ギャルリ・サロンドエス、東京・銀座)

Artist Today2015(日動画廊、東京・銀座)

第2回構成と色彩展(埼玉画廊、埼玉・そごう川口店)

第1回江古田の実(高輪画廊、東京・銀座)

2016年

昭和会展受賞記念 設楽俊展(日動画廊、東京・銀座)

第3回構成と色彩展(埼玉画廊、埼玉・そごう川口店)

第2回江古田の実(高輪画廊、東京・銀座)

現在 立軌会同人

 

【主な出品予定】

2017年3月16日(木)~19日(日)

アートフェア東京2017・埼玉画廊ブース

2017年3月27日(月)~4月1日(土)

「大山智子 設楽俊 張麗寧3人展」(仮)うしお画廊

2017年5月24日(水)〜6月6日(火)

「創業90周年記念 第54回太陽展」日動画廊

 

 

 


関連記事

その他の記事