[画材考] 洋画家:茶谷雄司「“絵と音楽” 自分をつくった“凝り性”」

2024年10月01日 12:00 カテゴリ:コラム

 

web1

 

10代の時、レンブラントの画集や『美術年鑑』で森本草介を観たことをきっかけに、自分で油絵を描きたい衝動に駆られて美術予備校でデッサンを学び、油彩は技法書などから色々情報収集しました。さらに憧れの作家さんに緊張を押し込めながら直接聞きに行ったりもしました。

 

制作時のBGMは、曲の嗜好が極端でジャパメタ(日本のロック、ヘビーメタル)、ジャズ、クラシックなどを聴いています。

 

一度何かにハマると突き詰めたくなる性分で、アナログレコード特有の音色に興味を持ち始めた20代の頃は、中古レコード店に通い詰めました。クラシックレコードを聴いていくうちに、「オリジナル盤」(初回プレス盤)の音色を聴いてみたい衝動に駆られ、最近は海外のネットサイトで、特に好きなベートーヴェン交響曲の1950年代のオリジナル盤を収集し始めました。

 

凝り性なので様々な時期に製造されたものも集めて聴き比べましたが、70年も前に製造された「オリジナル盤」は、古さとは裏腹にとても鮮明で、当時のレコードの独特な空気感と力強い音色に魅了されました。何年もそうしているうちにベートーヴェンの楽曲への親しみも深まり、今年の個展のテーマ「ベートーヴェン~不滅の恋」へと展開するに至りました。

 

何かちょっとしたきっかけでのめり込んでしまう「凝り性」が、絵と音楽を通じて自分を形作ってきたように思います。これからも絵と音楽を行き来して新しい光を探していければと思っています。

 

(左)《Sonata no.14-Ⅰ》40.9×31.8cm (右)《Sonata no.23-Ⅱ》65.2×53.0cm

(左)《Sonata no.14-Ⅰ》40.9×31.8cm
(右)《Sonata no.23-Ⅱ》65.2×53.0cm

.

茶谷 雄司(ちゃや・ゆうじ)顔写真 茶谷雄司
1972年北海道生まれ、北海道教育大学教育学部札幌校芸術文化課程卒業。叙情的な雰囲気と繊細な心の機微を湛えた現代の女性像で注目を集める。
2003年日展初入選。光風会展ではこれまで光風奨励賞、会友賞、損保ジャパン日本興亜美術財団賞を受賞。今夏には、近年精力的に取り組むベートーヴェンの真の恋人を追う映画『Immortal Beloved(不滅の恋)』にインスピレーションを受けたシリーズによる個展を、松坂屋上野店にて開催した。
現在光風会会員、日展会友、日本美術家連盟会員。

 

【関連リンク】Yuji Chaya Oil Painting Site

 


関連記事

その他の記事