MOA美術館の開館30周年記念の最後を飾る本展では、「日本陶磁」に焦点を当てている。同館の陶磁コレクションの特色は、国宝・野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」をはじめ、時代、分野ごとに優品が網羅されている点にある。特に今展では、「六古窯」の壺や甕を中心に紹介した展観となっている。
「六古窯」とは、愛知県の常滑焼、瀬戸焼、福井県の越前焼、滋賀県の信楽焼、兵庫県の丹波焼、岡山県の備前焼の窯を指す。平安後期から室町時代にかけて勃興し、現在に至るまでさかんな生産活動を展開する窯場である。六古窯で生まれた陶器は、素朴な風合いと親しみのある造形を湛えており、高い人気を誇る。各々の特徴を味わいながら、当時の人びとの生活や美意識を想像してみるのも楽しい。
このほか、縄文時代の火焔土器や埴輪(重文)から、江戸時代の伊万里、鍋島など色絵磁器まで、日本陶磁約90点を一堂に展覧している。名品を通じて、日本陶磁の歴史を展望できる好企画である。
【会期】 2012年11月16日(金)~12月24日(月・祝)
【会場】 MOA美術館(静岡県熱海市桃山町26-2)
☎0557-84-2511
【開館時間】 9:30~16:30 【休館】 木曜
【料金】 大人1600円 大高生800円(要学生証) 中学生以下無料 満65才以上1200円
【関連リンク】 MOA美術館