京都在住の洋画家・池田良則(1951年生まれ、日展評議員、白日会常任委員)。書籍『京都よせがき ちょっとそこまで』(春夏秋冬シリーズ4巻、マリア書房刊)に掲載された京都近辺の名所、名刹、街角、街並みを描いた水彩画のなかから、約100点を厳選し展観する。
【会期】2013年2月13日(水)~19日(火)
【会場】大丸東京店10階美術画廊 (東京都千代田区丸の内1-9-1)
☎03-3212-8011
【開廊時間】 10:00~20:00 (木・金は21:00まで/最終日は17:00閉場)
【休廊】会期中無休 【料金】無料
〈作家来場予定日〉 2月13日(水)~17日(日)
※都合により変更になる場合がありますので、あらかじめお問合せ下さい。
【関連リンク】 大丸東京店
〈寄稿〉
年明けに
池田良則
元日に富山の友人から紙筒が届きカレンダーかと思って開けると以前雑談の中で頼んでいた地図でした。これは正式には富山県が作った「環日本海東アジア諸国図」というもので富山を中心に天地が逆になっていて、大陸側から見た日本列島が上向きに反り返っているという構図です。これは考えさせられます。つまりロシア、中国、朝鮮半島から見れば北方領土、日本列島及び台湾に至る琉球弧が防波堤の様に取り囲み太平洋へ出るのを邪魔している様に見えるのです。
私は何処の国の肩も持つ訳ではないのですが相手の立場から物を見るとこんなにも違って見えるのかという事が実感出来ます。私は20代から絵を描くという事を口実にバックパッカーの様にインド中を歩きまわり、中近東をウロウロし、その後メキシコから中南米を彷徨しておりましたがその先々で色々な人と出逢い、見聞きし、そこでしか聞けない話を聴く機会を得ました。
いかにそれらの国々が列強の軍事力と巨大資本の好きな様に収奪されてきたか、今だにその弱肉強食の不条理がまかり通っているか肌で感じます。更に飢餓や貧困の原因が多分に人為的である様に思えます。
世界中が大きな問題を抱えたまま2013年は明けました。日本でも震災や原発、沖縄の問題を抱えたまま、それももう済んでしまった事の様な空気の中で年が明けました。不景気といい乍らも脳天気な正月を映しているテレビのスイッチは切る事にしました。
「新美術新聞」2013年1月21日号(第1301号)2面より