一貫して木彫に取り組む彫刻家・棚田康司は、2001年のベルリン滞在以後「一木造り」と呼ばれる日本古来の技法を用いて「少年少女」の像を彫り続け、近年は、岡本太郎記念現代芸術大賞特別賞、タカシマヤ美術賞を受賞するなど、日本現代彫刻を牽引する作家の一人として高い評価を得てきた。
棚田にとって関西初の大規模個展となった今展のタイトル「たちのぼる」は、煙の様に揺れながら、天空へと昇る少年少女を題材とした2対の最新作「たちのぼる―少年の場合」「たちのぼる―少女の場合」に因んだもの。
また、それら2つの作品において、少年が握る綱は、東日本大震災にて被災した東北生活文化大学高等学校普通科美術コース(仙台市)の生徒約140名によって、少女が握る綱は、棚田の母校であり、阪神淡路大震災が起きた年に生まれた兵庫県明石高等学校美術科(明石市)の生徒約40名により編まれ、そこには、あらゆる試練に遭遇しながらも、一人の人間として上昇するイメージ、また上昇して欲しいという想いが込められている。
このほか、大学修了作品から最新作まで、約50点の彫刻に加え、制作の源泉というべきスケッチなどを展示。隣接する旧岡田家住宅・酒蔵(江戸時代/重要文化財)へも作品を展示するなど、棚田の作品を網羅的に紹介する内容となる。
【会期】 2013年4月6日(土)~5月26日(日)
【会場】 伊丹市立美術館(兵庫県伊丹市宮ノ前2-5-20)
☎072―772―7447
【休館】月曜、4月30日、5月7日、ただし4月29日、5月6日は開館
【料金】 一般800円、大高生450円、中小生150円
【関連リンク】 伊丹市立美術館