【新宿】 オディロン・ルドン-夢の起源-

2013年04月30日 11:24 カテゴリ:最新の展覧会情報

怪物たちはどこから来たのか?

小林晶子(損保ジャパン東郷青児美術館 主任学芸員)

 

オディロン・ルドン「アポロンの戦車」 1909年 油彩、パステル、厚紙 ボルドー美術館蔵

オディロン・ルドン「アポロンの戦車」 1909年 油彩、パステル、厚紙 ボルドー美術館蔵

1840年4月20日、フランス南西部の港湾都市ボルドーにオディロン・ルドンは生まれた。1840年といえば、同じ年にクロード・モネが生まれている。モネら後に印象派とよばれた同世代の前衛画家たちが、写実主義の流れを汲みながら近代生活を色鮮やかに描いていた時代、ルドンはロマン主義の流れを汲みながら幻想的な夢の世界を単色の木炭やリトグラフ等で描いていたことになる。

 

ルドンの幻想的な芸術はやがて写実主義や印象主義への反動とともに注目を集め、ナビ派をはじめとする次世代の画家やマラルメら象徴主義の文学者たち、あるいは批評家たちの支持を集めていく。しかしルドンは現実の世界、つまり自然や科学の分野にまったく目を向けなかったわけではない。ルドンは地道に自然の描写に取り組み、やがてそれはロマン主義的な観点を経てルドンの幻想世界へ昇華していく。また、たとえば「進化論」のような当時の最先端の理論への関心は、ルドンの石版画集に登場する半人半獣の怪物、アメーバーのような微生物、深海の生物に見ることができる。

 

オディロン・ルドン「蜘蛛」1887年 リトグラフ、紙 岐阜県美術館蔵

オディロン・ルドン「蜘蛛」1887年 リトグラフ、紙 岐阜県美術館蔵

「オディロン・ルドン -夢の起源-」では、ルドンの芸術におけるこの「幻想」と「自然」という相反する要素が、生まれ故郷ボルドーでつちかわれていたことに注目し、まずは青年ルドンがボルドーで何を学んだかに焦点をあてる。さらにこのボルドーでの発見がその後の「白黒」と「色彩」の作品でどのように展開していったかを探っていく。

 

本展覧会はフランスのボルドー美術館、ならびに日本における最大のルドン・コレクションを所蔵する岐阜県美術館、そして国内外の美術館や個人所蔵者の協力のもと、ルドンの油彩画やパステル画を含む約150点を一堂に展示し、画家オディロン・ルドンの夢の起源をたどる。

 

【会期】 2013年4月20日(土)~6月23日(日)

【会場】 損保ジャパン東郷青児美術館(東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42階)☎03-5777-8600

【休館】 月曜、ただし4月29日、5月6日開館

【開館時間】 10:00~18:00(金曜のみ20:00まで、入館は閉館30分前まで)

【料金】 一般1000円 大・高校生600円 シルバー(65歳以上)800円 中学生以下・障がい者無料

【関連リンク】 損保ジャパン東郷青児美術館

※交通はこちら

 

開催記念講演会「ルドンにおける科学と自然」

【日時】 2013年5月18日(土) 14:00~

【講師】 山本敦子氏(今覧監修、前岐阜県美術館学芸部長)

【料金】 無料

【会場】 損保ジャパン本社ビル2階(美術館と同じビル)

※要申込。申込は5月7日までに、同館ホームページからかハガキで。定員200名。

 

「新美術新聞」2013年4月21日号(第1310号)1面より

 


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