情感ゆたかな風景を、端正な色彩で描きだす今川教子(1981年静岡県生まれ)は、京都造形芸術大学を卒業し、千住博に師事した気鋭の日本画家である。今も郷里の静岡・清水にアトリエをかまえ、画廊での個展や、全国有名百貨店でのグループ展などに数多く参加している。
作品の特徴のひとつは、ふたつの画面を一作品とする双幅表現にある。和歌の「上の句」「下の句」のように、時間や場所の異なる風景がひとつになり、新たな情景を生みだす。掲出の「しじまに」では、夜闇に光る街灯と、使いかけの糸巻きが並ぶ。何かがつながり、響きあい、自分では気づきえない感情をそっと引き出してくれる、そんな魅力をたたえた作品なのだ。
今展では、今の梅雨の季節とかかわる「雨」の風景を、高度な表現力で描いた新作が出品される。声高ではないからこそ、感情に深く届く作品があることも教えてくれるだろう。
【会期】 2013年7月5日(金)~19日(金)
【会場】 村越画廊(東京都中央区銀座6-7-16岩月ビル8階)☎03-3571-2880
【休廊】 日曜
【開廊時間】 10:00~19:00(土曜日は18:30まで)
【料金】 無料
【関連リンク】 村越画廊 今川教子公式ホームページ
「新美術新聞」2013年7月1日号(第1316号)4面より