この夏、博物館がお化け屋敷になる―こんなコピーの踊る幽霊画、妖怪画による特別企画展が、福岡市博物館で開催されている。
幽霊・妖怪画は古くから日本で育まれ、日本の絵画における独自の表現として発展してきた。その魅力はまず、美しく、そして怖いこと。円山応挙が描いたとされる涼やかな美しさが目を奪う「幽霊図」や、微笑ましくも奇妙な造形にその作家性が光る伊藤若冲「付喪神図(つくもがみず)」など、肉筆幽霊画に浮世絵版画など160点が並ぶ。
見どころは「怖い」だけではないことだ。よくよく見ればどこかおかしい「笑える」幽霊・妖怪画も多く、ぬらりひょんなど現代のアニメやマンガに通じるユーモアも発見できることだろう。その「ゆるさ」からか、会場には「YKI48」(ワイケーアイフォーティーエイト)ユニットも登場。出品作から選抜された「アフロのストーカー」「メイドの隊員」「総長」といった幽霊・妖怪たちの“総選挙”(人気投票、チケット1枚で1票)を会期末まで開催中。その行方も気になるところだ。
出品作は、京都出身の日本画家・吉川観方(よしかわ・かんぽう、1894~1979)が生涯をかけて収集し、現在は開催館・福岡市博物館が収蔵するもの。学べて笑えて、少し肌寒くなる同展は、来年の4月以降、大阪歴史博物館などを巡回予定である。
【会期】2012年6月30日(土)~9月2日(日)
【会場】福岡市博物館(福岡市早良区百道浜3-1-1)
☎092-845―5011
【休館】月曜、7月16日開館、翌17日休館
【開館時間】 9:30~17:30、ただし7・8月中は日・祝休日を除いて19:30まで(入館は閉館30分前まで)
【料金】一般1200円 高大生800円 小中生500円