収穫した稲を乾燥させるため、田んぼのへりなどに立つ「稲架木(はさぎ)」。この主題を重要なモチーフとして取り組むのが、日本藝術院会員で日展顧問の洋画家・村田省蔵(1929年石川県生まれ、金沢学院大学名誉教授)である。石川県立美術館での回顧展(本年1月)も記憶に新しい画家が、近年制作した作品を中心とする個展を開催する。
画家は金沢美術工芸専門学校(現・金沢美術工芸大学)第一期生として高光一也、宮本三郎らの指導を受けた。在学中に日展初入選を果たし、22歳で上京。小絲源太郎に師事。日展、光風会展(66年退会)で入選を重ね、75年に日展会員、98年日展内閣総理大臣賞、そして2006年には恩賜賞・日本藝術院賞を受賞し、同年、日本藝術院会員となった。
和光では初の個展となる今回、稲架木の作品をはじめ、信州や松島、伊豆高原など日本各地の風景、パンジーや椿など花々の作品が会場に並ぶ。
日本の自然の風景、情緒豊かな気候風土を油絵からどのように表現するか。師の小絲源太郎より受け継いだその問いを追い求め、描き続ける村田省蔵。小品から100号まで、重厚にして味わい深い約50点を堪能したい。
【会期】 2013年7月19日(金)~28日(日)
【会場】 和光ホール(東京都中央区銀座4-5-11和光本館6階)☎03-3562-2111
【休館】 会期中無休
【開館時間】 10:30~19:00(最終日のみ17:00まで)
【料金】 無料
【関連リンク】 和光
「新美術新聞」2013年7月21日号(第1318号)1面より