今なお持続する「自身の反省と危機意識」
日本画のあり方、解散後の成果を問う
横山秀樹(新潟市新津美術館館長)
所属団体や師弟関係の立場などの、縦のつながりを超えて横の連携を取り合うことにより、新しい日本画を生み出そうとした日本画グループ「横の会」。
1984年に第1回展を開催したときの結成メンバーは、当時30代後半から40代前半までの新進気鋭の若手作家たちで、このような会の結成は当時の日本画壇ではあまり例を見ないこととして、各方面で大きな話題となった。
「横の会」は自分たちが自由に描きたくて描いた作品を発表する場であった。制作の糧とするため研究会を開き、互いに出品作品を批評しあって研鑽をおこない、次年度の作品を制作するという展覧会形式が10年間一貫して続けられた。
当時若手の日本画新世代と言われた画家たちも、現在は60歳後半から70歳前半になったが、今でも5mから10mを超す作品を制作している。日本画壇を代表しリードする画家となり、大学の授業や公募展の開催をすることなどにより後進を指導育成してきている。
当時からの「現代日本画のおかれている状況、自身の仕事の反省と危機意識」は、1993年に解散した20年後の今なお会員各自が持ち続けてきている意識である。
解散時の会員は20名であったが、今日までの20年の間に2名の作家が鬼籍に入り、現在は18名の作家となった。そのうち日本画の団体に所属しているのは4名で、後の作家は無所属として現在も制作活動を行っている。
解散から20年目にあたる記念の年に、「横の会」のメンバー12名を一堂に集め「日本画の現在 20年後の横の会展」を開催することになった。
今回の展覧会には、青山亘幹、伊藤彬、大野俊明、中島千波、中野嘉之、仲山計介、箱崎睦昌、畠中光享、林潤一、八木幾朗、米谷清和、渡辺信喜の12名に、物故の佐々木裕久、林功の2名を加えた14名が出品する。
展覧会では作家一人に対し壁面10mを提供し、この展覧会のために描きおろした新作や過去5年間の近作を展示する。作家たちがこれまで目指してきた日本画の在り方、解散後に展開してきた活動を通じて得た成果を、作品を通して問うものである。日本絵画のなかで「日本画」がもつ可能性や本質の一端を、「横の会」作家の作品を通して感じていただきたい。
【会期】 2013年8月3日(土)~10月14日(月)
【会場】 新潟市新津美術館(新潟市秋葉区蒲ヶ沢109-1 花と遺跡のふるさと公園内)☎0250-25-1300
【休館】 月曜、ただし祝日と8月12日(月)・9月30日(月)開館、9月17日(火)・24日(火)は休館
【開館時間】 10:00~17:00(観覧券販売は16:30まで)
【料金】 一般800円 大学・高校生600円 中学生以下無料
【巡回】 2013年11月29日(金)~2014年1月19日(日) 富山県水墨美術館
【関連リンク】 新潟市新津美術館
20年後の横の会・記念講演会 -「横の会」を語る-
【日時】 2013年8月3日(土) 13:00~15:00
【出演】 畠中光享、箱崎睦昌、大野俊明、青山亘幹、八木幾朗ほか(予定)
【会場】 同館1階市民ギャラリー
【料金】 要観覧券
※ 要事前申込、先着100名、同館(☎0250-25-1300/FAX 0250-25-1303)まで住所、氏名、電話番号、参加人数(4名まで)を伝えること
美術講座「日本画グループ『横の会』」
【日時】 2013年8月31日(土) 13:30~15:00
【講師】 横山秀樹(同館館長)
美術講座「20年後の『横の会』の作家たち」
【日時】 2013年9月7日(土) 13:30~15:00
【講師】 小熊千佳子(同館主査)
※ ともに申込不要、参加無料
「新美術新聞」2013年8月1・11日号(第1319号)1・2面より
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