密教が説く抽象的な観念を視覚的に表すものとして、インドに起源をもつ「曼荼羅」。インドでの曼荼羅は立体の壇に仏像を安置したり描いたりするもので、修法が終わると壊していたが、中国や日本では絹や紙に描かれたものが主流となり、密教の根本原理を図解する両界曼荼羅をはじめ、さまざまな修法に合わせて個別の仏の世界を描いた別尊曼荼羅が制作された。中でも特に平安時代から鎌倉時代にかけての曼荼羅は、美術的にも優れたものとして評価が高く、貴重な文化財として今に伝えられている。
今展では、根津美術館の仏画コレクションより選りすぐった曼荼羅の名品を紹介する。近年行われた本格的な修理後、初めての公開となる重要文化財「愛染曼荼羅」、「大日如来像」をはじめ、密教曼荼羅や尊像画、浄土曼荼羅、垂迹曼荼羅の優品約40件(うち重要文化財7件、重要美術品5件)を展示。仏の道の理(ことわり)を表す崇高で力強い仏画の世界が多くの来場者を魅了するだろう。
【会期】 2013年7月27日(土)~9月1日(日)
【会場】 根津美術館(東京都港区南青山6-5-1)☎03-3400-2536 ※アクセス
【休館】 月曜
【開館時間】 10:00~17:00 (入館は16:30まで)
【料金】 一般1000円 学生[高校生以上]800円 中学生以下無料
【関連リンク】 根津美術館
【イベント情報】
■講演会「曼荼羅のこころとかたち―装飾文様に込められた意味-」
【日時】 8月24日(土) 14:00~15:30
【講師】 中村幸真 (種智院大学 教授)
【申込方法】 往復はがきに必要事項を明記のうえ、「曼荼羅展」講演会係まで
【申込締切】 8月10日(土)
■講演会「日本の曼荼羅―仏と神が織り成す宇宙-」
【日時】 8月31日(土) 14:00~15:30
【講師】 白原由起子 (根津美術館 学芸部課長)
【申込方法】 往復はがきに必要事項を明記のうえ、「曼荼羅展」講演会係まで
【申込締切】 8月17日(土)
※会場はいずれも根津美術館 講堂(定員140名)
■「曼荼羅展」ギャラリートーク
【日時】 8月2日(金)・8月23日(金) 13:30~14:30
【定員】 先着30名 ※当日13:00よりホールにて整理券配布
「新美術新聞」2013年7月21日号(第1318号)4面より