アメリカ・メリーランド州在住のファインバーグ夫妻が、40年あまりに渡って収集した江戸絵画コレクションの初めての里帰り展。化学者、実業家であったロバート・ファインバーグ氏と妻であるベッツィーさんはニューヨークで暮らしていた1970年代、メトロポリタン美術館で目にした江戸絵画に魅せられて以来、日本の歴史、文化芸術に親しみ、とりわけ江戸絵画を研究、収集し続けてきた。
コレクションの特徴は、江戸の民間画派の自由で活気に満ちた肉筆画が多いこと。尾形光琳、酒井抱一らの琳派、池大雅、与謝蕪村、谷文晁らの文人画、円山応挙、森狙仙らの円山四条派、伊藤若冲、曾我蕭白、わずか8作品しか知られていない謎の絵師、葛蛇玉らの奇想派、菱川師宣、葛飾北斎らの浮世絵など、江戸絵画を網羅した上品で上質な作品が揃っている。
在米の日本美術コレクターとしてはエツコ&ジョー・プライス氏が著名であるが、今展の出品内容は全般的にそれに勝るとも劣らぬ充実度だ。展示は、「日本美のふるさと 琳派」「中国文化へのあこがれ 文人画」「写生と装飾の融合 円山四条派」「大胆な発想と型破りな造形 奇想派」「都市生活の美化、理想化 浮世絵」の5章の組み立て、構成がなかなか巧みにできている。江戸絵画通でも十分に堪能しつつ、あっという間に見終わってしまう。
【会期】 2013年7月20日(土)~8月18日(日)
【会場】 MIHO MUSEUM(滋賀県甲賀市信楽町田代桃谷300)
☎0748-82-3411
【休館】 月曜
【開館時間】 10:00~17:00(入館は16:00まで)
【料金】 大人1000円 高・大生800円 小・中生300円
【巡回】 2013年10月5日(土)~11月10日(日) 鳥取県立博物館
【関連リンク】 MIHO MUSEUM
「新美術新聞」2013年7月21日号(第1318号)1面より
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