「アイヌ」 1909年　北海道立近代美術館

明暗の強調されたコントラストに、力強く重厚なリアリズム描写。ヨーロッパを中心とした絵画修業より独自の表現を切り拓いた洋画家・青山熊治（1886～1932）の回顧展が、姫路市立美術館で開催される。

青山は兵庫県の現・朝来市生まれ。東京美術学校在学中には東京勧業博覧会で「老坑夫」が二等賞、ほかにも第13回白馬会展で「アイヌ」が白馬賞、第5回文展では「金仏」が二等賞など、その才能は早くから評価されていた。

ヨーロッパでの放浪の旅（13～22年）が転機となる。セザンヌやルノワール、シャバンヌらを学び、苦労のすえに培った画技は、帰国後の第7回帝展にて発表された横3メートルをこす大作「高原」に結実し、特選と帝国美術院賞を受賞。日本の洋画壇へ復帰を果たし、帝展審査員をつとめるなど活躍するも、32年に46歳の若さで逝去した。

西洋絵画への深い理解に基づき、独特の色彩、大胆な構図、そして精神の陰影までも映し出すような画風を青山は確立した。今展では代表作を中心に初期から晩年まで幅広い作品を展示。劇的な人生とともに、明治から昭和に活躍した“鬼才”の創造世界が紹介される。

「高原」 1926年　兵庫県立美術館

【会期】 2013年9月14日(土)～10月20日(日)

【会場】 姫路市立美術館 企画展示室（兵庫県姫路市本町68―25）☎079―222―2288

【休館】 月曜、祝日のとき翌日

【開館時間】 10：00～17：00（入館は閉館30分前まで）

【料金】 一般800円 大学・高校生500円 中学・小学生200円

【関連リンク】 姫路市立美術館

「静物（野菜）」 1931年　但陽信用金庫

講演会「青山熊治―はじまりのころ」

【日時】 2013年10月5日(土) 14：00～

【会場】 同館2階講堂

【講師】 岸野裕人・姫路市立美術館館長

【料金】 無料　※先着100人

解説会「青山熊治と同時代の美術」

【日時】 2013年10月13日(日) 14：00～

【会場】 同館2階講堂

【講師】 同館学芸員

【料金】 無料　※先着100人

「新美術新聞」2013年9月11日号（第1322号）1面より