【日本橋】 桜井寛展 廃墟、室内、めだま焼き。

2013年09月13日 15:40 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

「捨てた村」2013年 112.1×193.9cm

「捨てた村」2013年 112.1×193.9cm

独立展や十果会での発表を中心に、2011年には佐久市立近代美術館にて回顧展「桜井寛展―モチーフと共に」が好評のうちに開催された洋画家・桜井寛(1931年長野県生まれ)。長年取り組むモチーフの新作を中心に、東京、京都、大阪の髙島屋を会場とする個展が開催される。

 

画家の郷里、長野県南佐久郡臼田町(現・佐久市)は、戦中に多くの著名な美術家の疎開地となった。有島生馬をはじめ、独立展の加藤陽、日本画家・奥村土牛など、その存在は桜井が画家を志す一端となる。東京教育大学(現・筑波大学)卒業後、67年に独立美術協会会員推挙。79年には十果会の結成に参加した。

 

「二つのフライパンのある静物」2013年 116.7×90.9cm

「二つのフライパンのある静物」2013年 116.7×90.9cm

75年からの1年間はスペインを中心に渡欧。スルバラン、ゴヤ、ベラスケスなどの影響から、同地で取材した廃村、廃墟の風景が重要な主題となった。そして、自画像、裸婦、静物にめだま焼きのモチーフが、黒を基調に現在まで描き続けられてきた。

 

今展の中心となる「廃墟」や「めだま焼き」は、長い時間をかけて醸成されてきた。モチーフを深めることは、作品の充実感を増すと桜井は話す。白と黒の重厚な画面に、生への希望や寂寥感がただよう。そこには、対象を凝視し、内省をくり返す画家の精神性を見てとれるだろう。

 

スペイン時代やニューヨークで描いた素描作品も特別に展示される。油彩約22点、素描約10点の展覧となる。

 

【会期】 2013年9月18日(水)~24日(火)

【会場】 髙島屋日本橋店6階美術画廊(東京都中央区日本橋2―4―1)

☎03―3211―4111

【休廊】 会期中無休 【料金】 無料

【巡回】 2013年10月2日(水)~8日(火)髙島屋京都店6階美術画廊、10月23日(水)~29日(火)髙島屋大阪店6階美術画廊

【関連リンク】 髙島屋の美術

 

「新美術新聞」2013年9月11日号(第1322号)1面より

 


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