絵画に挿画、書や陶芸から文芸まで、様々な分野で際立った足跡をのこす中川一政(1893~1991、文化勲章受章)。詩によって10代にして世に出た中川が、画家として歩みはじめたのは21歳のとき。雑誌『白樺』で知るゴッホやセザンヌが自分と同じく独学であることに勇気づけられ、岸田劉生と親しくするも、似通うことなく大らかな抒情性をもつ独自の画風を確立。特筆すべき矜持である。
生誕120年の今年、黎明期といえる大正期(20~30歳代前半)に光をあて、若き日の情熱や煩悶をたどる展覧会が、母・すわの出生地でゆかりの石川県白山市で開かれている。出品は大正期を軸に、後年の代表作「福浦」「駒ケ岳」など約90点(会期中一部展示替えあり)。今なお人々を魅了する躍動感にあふれた作品の原点を知る、格好の機会となるだろう。
なお、10月19日(土)午後1時半からは、フラメンコと画家・入江観氏の講演による関連イベントを予定。定員50名、要観覧券。申込は往復はがきで美術館まで。
【会期】 2013年9月14日(土)~11月17日(日)
【会場】 白山市立松任中川一政記念美術館(石川県白山市旭町61―1)☎076―275―7532
【休館】 月曜、祝日のとき翌日
【開館時間】 9:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
【料金】 一般300円 高校生200円 中学生以下無料
【関連リンク】 白山市立松任中川一政記念美術館
「新美術新聞」2013年10月1日号(第1324号)4面より