日本画家・奥田元宋(1912~2003)と人形作家・奥田小由女(1936~)の代表的作品を紹介する「響きあう芸術 奥田元宋 小由女」と題した<特別展>が、愛知県長久手の名都美術館で開催されている。二人の故郷、広島県三次市にある奥田元宋・小由女美術館所蔵の作品を中心に構成されるもの。
戦後の日本画壇をけん引し、日展の重鎮として活躍した文化勲章受章の日本画家・奥田元宋が逝去して10年。その70年以上にも及ぶ画業のなかで、画風はさまざまに変遷したといわれる。なかでも60歳代半ばからの「元宋の赤」と称された赤を主調とする風景画は多くの人々を魅了した。奥田元宋は入念な写生をもとに自らのイメージを山々に重ねたという。そこには鑑賞者をすっぽり包み込んでしまう幽玄で奥深い世界が広がっているかのようだ。「画家には生まれついた色」があり、「命を象徴するような赤色」は、自身のそれであるとして精力的に制作を進めたといわれる。
奥田小由女は現在、日展副理事長を務め、日本を代表する人形作家である。優美な曲線、豊かな色彩が印象的な女性像の作品は愛情に溢れている。「亡き夫に捧げた」とする代表作「月の別れ」は、満月の夜に旅立った夫・元宋への届かぬ想いを、典雅に広がる腕に込めて表した優作である。
奥田元宋の六曲一双屏風「春耀」(展示期間、10月20日まで)や同「綵苑」(展示期間、10月22日~11月10日)、奥田小由女の「愛の誕生」、二人の共作になる「春陽清韻」など、全43点を紹介する。
【会期】 2013年10月2日(水)~11月10日(日)
【会場】 名都美術館(愛知県長久手市杁ケ池301番地)☎0561-62-8884
【休館】 月曜、祝日のとき翌日
【開館時間】 10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
【料金】 一般1000円 大学生700円 中高生500円 小学生以下無料
【関連リンク】 名都美術館
「新美術新聞」2013年10月21日号(第1326号)1面より