【銀座】 LAS MENINAS RENACEN DE NOCHE 森村泰昌展 ベラスケス頌:侍女たちは夜に甦る

2013年12月06日 19:44 カテゴリ:最新の展覧会情報

 

「ベラスケス頌:選ばれし幽閉者」 2013年

 

17世紀スペイン絵画の巨匠、ディエゴ・ベラスケスの《ラス・メニーナス》。その複雑な画面構成から、これまで多様な解釈がなされてきた謎多き名画を、美術家・森村泰昌(1951年大阪府大阪市生まれ)が独自の解釈と想像力を加えた新たな物語として再創造し、“全8幕の一人芝居”として表現した展覧会が、銀座の資生堂ギャラリーで開催されている。

 

 

「絵画の国に住む(画家)」 2013年                  「絵画の国に住む(王女)」 2013年

 

「絵画の国に住む(王女)」 2013年(部分)

 

今展は、日本及びスペインで今年から来年にかけて開催される「日本スペイン交流400周年事業」プロジェクトのひとつ。資生堂では、1994年にザ・ギンザアートスペースで個展「サイコボーグ マドンナ・マイケル・モリムラの関係」を開催して以来、約20年ぶりの展覧会の開催となる。

 

ベラスケス《ラス・メニーナス》に登場するマルガリータ王女は、かつて「美術史の娘」シリーズで一度作品化した人物。その当時より《ラス・メニーナス》についての作品を制作したいと考えていた思いを、今展で実現した森村。作品の背景となる美術館の部屋は、今年の2月に“絵画の王国”マドリッドのプラド美術館で撮影し、登場人物の撮影は、6月末から7月初めに客員教授を務める京都市立芸術大学で、特別授業として学生たちに公開制作するというかたちで行われた。

 

今展の作品には初めて森村が扮装しないままの姿で登場する。そのことについて「僕の作品は、自分自身の美術鑑賞の仕方を作品化したもの。その点は今回も変わらない。しかし、《ラス・メニーナス》に関しては、絵と自分の出会い、その時点から作品化しなければと考えた」と森村は言う。絵画に出会い、その世界に足を踏み入れたところから始まる絵解きの物語。時間と空間、観る者の想像すら超えて、ダイナミックに展開される美術家・森村泰昌のスリリングな美の世界をぜひ楽しんでいただきたい。

 

 

実際に撮影に使用された衣装とウィッグも展示されている

 

展示風景

 

※今展と同時期に、東京・原美術館にて「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」(10月12日~12月23日)、アメリカ ピッツバーグのザ ウォーホルにて「Yasumasa Morimura: Theater of the Self」(10月6日~2014年1月12日)を開催。

 

【会期】 9月28日(土)~12月25日(水)

【会場】 資生堂ギャラリー (東京都中央区銀座8-8-3東京銀座資生堂ビル地下1階)☎03-3572-3901

【休館】月曜

【開館時間】 平日11:00~19:00 日曜・祝日11:00~18:00

【料金】無料

 

【関連リンク】 資生堂ギャラリー

 

【関連ページ】

コラム:「ときの人 美術家 森村泰昌さん

展覧会: 「森村泰昌 レンブラントの部屋、再び」(原美術館)

ニュース:「ヨコハマトリエンナーレ2014、アーティスティック・ディレクターに森村泰昌氏」

 

「新美術新聞」2013年11月1日号(第1327号) 4面より

 


関連記事

その他の記事