下村観山(1873~1930)は、紀州徳川家に代々仕える能楽師の家に生まれ、幼い頃から狩野芳崖や橋本雅邦に師事、狩野派の描法を身につけた。1889年には東京美術学校に第1期生として入学、同期の横山大観や1年後輩の菱田春草らとともに校長の岡倉天心の薫陶を受け、卒業後は同校の助教授となるが、天心を排斥する美術学校騒動を機に辞職し、日本美術院の創立に参画、新しい日本画の創造に尽力くした。その後美術学校に教授として復帰、英国に渡り色彩の研究や西洋画の模写を行なうなど西洋画を研究、その成果を加味した独自の画風を確立していった。
日本美術院の活動は次第に停滞、観山も文展が創設されると審査員として出品するが、やがてその職を辞し、大観とともに日本美術院を再興、在野を貫く決意を示した。
1913年には実業家・原三溪の招きにより、横浜の本牧に終の棲家を構えた横浜ゆかりの画家でもある。
今展では、生誕140年を記念し10代の狩野派修行期から、円熟した画技を示した再興日本美術院時代まで、代表作を含む120点(会期中展示替えあり)により画業の全容を紹介する。
※会期中、前後期展示替えのほか、展示期間限定の作品があります。
【会期】 前期=12月7日(土)~2014年1月8日(水) 後期=1月10日(金)~2月11日(火・祝)
【会場】 横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1) ☎045-221-0300
【開館】 10時~18時 (入館は閉館30分前まで)
【休館】 木曜、12月29日(日)~2014年1月3日(金)
【料金】 一般1200円 大学・高校生800円 中学生400円 小学生以下無料
記念レクチャー
「下村観山の見どころ」
【日時】 2014年1月11日(土) 14時~15時30分 (開場13時30分)
【講師】 木下長宏氏 (美術史家)
【会場】 横浜美術館レクチャーホール (定員240名、聴講無料)
※当日12時より総合案内にて整理券を配布
【関連リンク】 横浜美術館
「新美術新聞」2013年12月11・21日号(第1331号)1面より